「絹谷幸二色彩とイメージ」展、
京都国立近代美術館で開催中です。
先日取材に伺いました。
※会場内は一部撮影可能ですが、それ以外は特別の許可をいただいています。
桐谷幸二
1943年奈良県生まれ。
実家の窓からは興福寺の五重塔が見えたという。
東京芸術大学在学中に古典的壁画技法「アフレスコ古典技法」出会い、その後のイタリア留学で研究。
帰国後、1974年画壇の登竜門「安井賞」を歴代最年少で受賞。
個展を中心に作品を発表し、活躍。2014年には文化功労者となりました。
鮮やかな色彩と、ほとばしるエネルギー。
今回の展覧会は、初期の代表作から京都の風景をテーマにした最新作まで、立体や素描などを含む約120点が展示、半世紀にわたる創作活動を紹介しています。
第1章 蒼の時代
複雑な家庭環境で育った絹谷。
少年時代から「無常観」を持っていて、その心情が反映され、沈んだ色合いが特徴です。
《蒼の間隙》 1966年 油彩 カンヴァス
第2章 イタリア、花開く色彩
1971年、イタリアへ留学。ヴェネチア・アカデミアでブルーノ・サエッティ教授のもとでアフレスコの技術を学びます。
アフレスコとは、壁画制作技法のひとつ。壁に漆喰を塗り、漆喰がまだ「フレスコ(新鮮)」である状態(生乾きの間)に、水または石灰水でといた顔料で描く手法のことです。
イタリアの鮮やかな色彩や街の雰囲気に触発されて、作品には明らかな変化が見て取れます。
《ヴェネチア朝陽・希望》
2006年 顏彩、金泥、カンヴァス
第3章 安井賞
第17回安井賞受賞作品《アンセルシモ氏の肖像》と出品作品、
そして、安井曾太郎の作品を並べて展示。
夢の共演が実現しました!
《アンセルシモ氏の肖像》
1973年 アフレスコ・ストラッポ
東京国立近代美術館蔵
※アンセルシモは画家であり、絹谷のイタリア留学時代の親友。
安井賞とは1957年に、安井曾太郎の画業の顕彰し設定された章。新人洋画家の登竜門とされ、画壇の芥川賞とも称されました。1997年の第40回まで続きました。
第4章 肖像シリーズ
絹谷作品には人物がたくさん登場します。
第5章 創作の秘密
絹谷の頭の中をのぞき込む、という趣向。
鮮やかな色彩を支えている顔料瓶が一面に並びます。
《泳ぐ人1》
1994年 ガラス
第6章 芳醇なるイメージ
巨大な立体はロビーに展示されています。
第7章 挑戦の軌跡
第8章 祈り
奈良出身で、少年時代を興福寺や春日大社などがあるエリアで過ごしました。仏像や神像がモチーフとなるのも、ごく自然なことだったそうです。
第9章 新たなる日本の風景
新作を中心に展示。
龍が・・・絵から飛び出しそうでした・・・
記者会見での絹谷さんのコメントは・・・
「色彩あるところ幸せなところだと思う。
砂漠、海の底、宇宙など、色彩がなくなっていくところは、生物の多様性が限られていく、危険なところだと思う。
色彩の旅はまだまだ続きます」
『絹谷幸二 色彩とイメージの旅』
10月15日まで京都国立近代美術館で開催。