県美プレミアム 「青木千絵展 漆黒の身体」兵庫県立美術館 | アメ太郎、パン次郎とググ&おチビ

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先日取材に伺ったのは「青木千絵展 漆黒の身体(しっこくのしんたい)」
 
目の不自由な方にも芸術鑑賞の機会をと、兵庫県立美術館では1989年から「美術の中のかたち-手で見る造形」展を開催しています。毎回担当学芸員が変わることで、視点が変わり個性的な作品が並ぶのが特徴です。
28回目の今年は青木千絵さんの作品が展示されています。
触ることができる作品は9点、素手で触ることができるのが1点、手袋が必要なのが8点です。
乾漆(かんしつ)技法による作品たちです。
※触ることのできない作品もありますのでご注意ください。
青木千絵さん。
1981年12月、岐阜県生まれ。
高校生の時に見た、漆作品に心惹かれ、大学で漆工芸を学びました。元々、彫刻家を目指していたそうで、漆+彫刻=現在の青木作品が生まれました。
乾漆技法とは、漆の立体造形の技法です。
元々仏像の制作に使われていました。東大寺法華堂におわします国宝・不空羂索観音立像も、この技法で作られています。
 
青木さんの場合は、木ではなく、造形のために圧縮率を高くし固くした発泡スチロールで原型を作ります。この作業はまさに立体彫刻を作るがごとく、カッターやナイフで削り出していきます。
かたちが出来上がったら、漆の工程に入ります。漆と糊を合わせた「糊漆」で麻布を貼り重ねていきます。
さらに漆を塗っては磨き、塗っては磨きを何度も繰り返し、磨き上げて完成です。
大きな作品だと完成までに3か月~半年かかかるそうです。
 
↓こちら、素手で触ることができます。
ひやっとします。でも、なぜか、温かみも感じます。独特の丸みがそう感じさせるのかもしれません。頬ずりしたくなりました(実際はしていません、可能かどうかはご確認ください。)
 
他の8作品は手袋着用です。美術館で用意してくれています。
身体と抽象的な形態が融合している、しかもそれが等身大であるというところが特徴の一つ。

こちら↓の足のモデルは青木さんご本人とのこと。
アキレス腱が綺麗でした~
若干エロティックな雰囲気があるのですが、青木さんご本人にはその狙いは無いそうです。
でも、なんとなく、いい意味で不埒な気分になります。
男性記者さんも触るとき、少し恥ずかしそうにしていました。
 
小さい作品たちは、「マケット」。彫刻製作において、最初の構想を示すために、予備的なスケッチ程度のものとして試作される蝋や粘土でつくられる小型の模型、雛型をさします。
青木さんにとってマケットとは
『作家が作品を構想するときに最も重要なもので。普段は表に出でませんが、今回は漆塗りをし完成度を挙げたものを展示しています』とのこと。
さらに『ちょうど両掌に収まるサイズ、「手で触って見る」とい意味では作品の全体像をとらえるのに良いのではないか』と話していました。
 
触ってわかる作品の魅力。
丸み、温かみ、ヒヤッとする感触・・・すべて味わってほしいです。
 
「青木千絵展 漆黒の身体」
兵庫県立美術館で10月15日まで開催されています。
 
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