
凄い映画を観た、、。
何と表現すれば良いのでしょうか?
感動したとかそういうものを超えて、観終わった後魂が抜けた感じがしました。
歌舞伎独特の世襲制度、芸の厳しさ、嫉妬、狂気、友情、絆、そして人間国宝になった時の孤独さ、、、。
沢山の感情に心を揺さぶられて、ラストシーンは泣くことも出来ずに(心では泣いていました)、放心状態だった。
本当に凄い映画でした。
任侠(公式を見たら『極道』ではなくて『任侠』なのですね)の一門の息子・喜久雄(吉沢亮)が、抗争によって父を亡くして、上方歌舞伎の花井半ニ郎(渡辺謙)に引き取られて、歌舞伎の世界へ入ります。
そこで、将来を約束された半ニ郎の息子・俊介(横浜流星)と出会い、立場の違う二人はライバルとして互いに高め合い、芸に青春を捧げるのですが、、。
半ニ郎が怪我をして舞台を降板した時に、その代役に息子の俊介ではなく、喜久雄が選ばれます。
そこから二人の歯車が狂っていく、、、。
というお話。
歌舞伎の舞台が何度も出てきて、その華やかさにも感動したのですが、私が一番震えたのは『人間ドラマ』です。
何といっても、喜久雄役の吉沢亮さんと俊介役の横浜流星さんが想像以上に素晴らしかった
横浜流星さんは、恵まれた地位を当然の様に思っていた頃の御曹司っぽい感じも合っていましたが、挫折を知った後の演技がとても良かった‼︎
強がって笑っているけど、心はヅタヅタに打ち砕かれているのが伝わってきて、見ていて辛かったです💦
吉沢亮さんは、世襲という後ろ盾がない中で、芸だけで勝負する覚悟や不安な気持ちが伝わってくる演技で、凄い役者さんだなと思いました。
人間国宝になった後に舞台で舞っている姿は、孤高さが際立っていて、神々しくもあり、心が震えました。
予告を見た時に、屋上で泣きながら踊っているシーンが印象に残っていたのですが、こういう事だったのですね。状況を分かった上で見たら、苦しくて堪らなかったけど、美しくも見えて。凄い演出だなと思いました。
二人の場面で印象に残っているのは、代役に選ばれた喜久雄が、本番前の楽屋で怖くて手が震えてお化粧が出来なかったシーン。
俊介がお化粧をしてあげるのですが、
「怒らないで聞いてくれ。お前が羨ましい。俺には失敗しても守ってくれる後ろ盾がない。お前の血が欲しい」(→要約)
という喜久雄に、
「お前には芸があるじゃないか」
と、答える俊介。
お互い苦しいよね。この場面は胸が抉られてボロボロ泣いてしまいました😭
二人ともこの映画の為に、一年半前から歌舞伎のお稽古をしたとの事。
長い様に見えて、一年半で習得するのは大変だったと思います。
歌舞伎通の人が見たら色々思う事はあるかも知れないけれど、、、。
歌舞伎を一度しか生で観たことがない私は、二人の女形の所作や踊り、歌舞伎独特の発声は、完璧に見えましたよ。本当に凄いと思った。
実際に歌舞伎にある演目もいくつか再現されていて、興味深かったです。歌舞伎を観たくなった。
特に、曽根埼心中が心に残りました。
終盤に喜久雄と俊介が演じたのですが、役を演じているのを通り越して、二人の生き様を見ているみたいで、鳥肌が立ちました。
今思い出しても目頭があつくなります。
また、歌舞伎のシーンの魅せ方が素晴らしくて。
特に、喜久雄がセリから上がってくるシーンでは、役者目線のアングルで撮っていて、客席がこんな風に見えるのだなぁと。決して見る事ができない景色を見せてもらえて、役者さんと同じ感覚を味わえて嬉しかったです。
主演の二人以外のキャストも豪華でした。
特に、ベテランの渡辺謙さん、田中泯さんの存在は作品が引き締まりますね。
渡辺謙さんの演技からは、芸に生きる事の厳しさが伝わってきましたし、人間国宝役の田中さんは、静かな語り口なのに一言一言の説得力たるや。
ベテラン役者さんの凄さを感じました。
一つ残念だった事がありました。
隣に座っていた女性のスマホが大きな音で鳴った事。しかも2回も‼︎
1度目は、うっかりして消し忘れたのかなって思えたけど(うっかりもよくないけど)、2回目は勘弁して欲しかった
スマホの音って現実に戻されてしまいますよね。
本当に残念でした。
最後は愚痴になってしまったので、話題を変えますね。
この映画は上演時間が3時間近くあり、私はトイレが心配でした。
鑑賞前に大福やカステラを食べると、尿意を抑えられると言いますよね??
以前大福で何度か試したのですが、私にはあまり効果がありませんでした。
なので、今回はカステラで試してみました。
鑑賞前に、このカステラを食べてチャレンジ‼︎
結果は大成功でした‼︎‼︎‼︎
全く尿意を感じずに3時間集中出来ました
まぁ、映画自体がダレる事なく集中出来る内容だったせいもあるかも知れないですけどね。
この映画を観たいけれどトイレが心配だと思っている方は、カステラ試してみる価値はあると思いますよ
国宝は映画館で観るべき映画だと思います