昨日フジテレビで放送したドラマ『レ・ミゼラブル』をリアルタイムで見ました。
レミゼは、ミュージカル版は言わずもがな、原作も読んだし映画版も三作品見た位、大好きで特別な作品です

なので、テレビドラマをやると知った時から楽しみにしていました。
まぁ、わかっていたのですよ。
舞台を現代の日本に変えているので、原作とは別物と考えなくてはいけないって。
わかっていたけど、、。
何故この名作をドラマ化しようと思ったのかしら??
肝心の原作の『核』の部分が私には伝わって来ませんでした



人物設定は原作を元に作られていました。
以下ネタバレをしているのでご注意を。
主役は少年院を脱走した馬場純(原作で言うとヴァルジャン)。
人を殺してしまったのですが、それは正当防衛。
病気の弟に肝臓移植をしたく少年院を脱走したのですが、弟は亡くなってしまい失意の末に自殺未遂をしようとします。
それを助けたのが徳田という男。この徳田さんは原作の司教様の役割ですね。
馬場が殺してしまったのが、斎藤涼介(原作でいうとジャベール)の父親です。
斎藤は刑事になり、父親を殺した馬場を執拗に追い掛けます。
その中で、シングルマザーで病気で亡くなってしまう女性の子供を引き取って育てたり(原作でいうとファンティーヌとコゼット)、子供を預けていた託児所の夫婦がテナルディエ夫妻にそっくりだったり(笑)。
他にも、マリウスやエポニーヌの境遇に似ている役も登場して、設定は原作と似ていました。
でも、原作の感動には及ばなかったかなぁ。
原作では、登場人物が懸命に生きていた時代ですよね。
ファンティーヌも子供のために髪を売り、身体を売り、歯も売ってしまう位、自分の全てを捧げて必死に生きていました。
マリウスも命をかけて戦っていたし、そんなマリウスの命を救ったヴァルジャンも自分の命を省みず救った。命を捧げる覚悟でね。
その話を平成の日本に置き代えているのだからそもそも無理があるし、同じ様な感動を求めてはいけないのも分かっています。
何が残念だったかと言うと、司教様的な人が登場しなかった事。
原作で一番核になる場面は司教様の場面だと私は勝手に思っています。
原作でも一冊まるごと司教様の事を語っている位大事な人物です。
舞台でも司教様に出会う場面がありますよね。
ヴァルジャンは司教様に出会う事によって魂を救われるのですよ‼︎
ドラマでいうと、徳田さんになるのかな。
確かに馬場の命は救ったけれど、魂は救って無いですよね

「道に迷った時は、難しくて大変な方を選びなさい」
という助言はくれたけれど、あまり響かなかったです

馬場が子供を引き取った時に、斎藤が追って来てます。
自首するのか逃げるのか(子供を育てるのか)という選択を迫られた時にも徳田にこのセリフを言われます。
馬場は、子供を引き取って育てたのは大変な方を選んだからなの??
理屈じゃないと思うんだけどなぁ。
原作のヴァルジャンは、ファンティーヌの事を助けたい一心でコゼットを引き取った。その根元は司教様に魂を救われたからです。
コゼットに対しても物凄く愛情があったし。
ドラマ版では、そこの大事な部分が弱かったのが残念でした

と、辛口意見を書いてしまいましまが、原作と別物と考えるとなかなか見応えのあるドラマでした

私が一番グッと来たのは、心友の渡辺拓海が亡くなる場面。
阪神大震災で建物の下敷きになってしまった拓海が、自分の身分証明書を馬場に渡して、
「俺として生きろ‼︎ 俺の分まで生きてくれ‼︎」
というシーンはグッと来ました





拓海は原作には登場しない人物でしたが、ドラマでは一番心に残った。
それから、拓海の恋人役を演じた香里奈さんも素敵だったなぁ。
俳優陣も皆さん魅力的でした

馬場役のディーン・フジオカさんは、穏やかな雰囲気を纏っていて気品がある俳優さんですね。
初めて演技をじっくり拝見したのですが、人気があるのがわかりました。
斎藤涼介役の井浦新さんの演技力に惹きつけられました✨
この役は色々な意味でジャベールとは程遠かったけど
、ジャベールとは違う葛藤を抱えていて、ラストシーンの母親に謝るシーンが心に残りました。

馬場と斎藤の設定が40代なので、最後はどうなるのか楽しみにしていたのですが、馬場が自首して斎藤に逮捕されるという、思いも寄らぬ展開でびっくりしました





40代で老衰はないとは思ってたけど、逮捕されてしまうなんて、なんだか救われないなぁ。
でも 、娘を育て上げてから自分の罪を償おうと自首するのは、律儀な日本人ならではの感性ですね

何だかんだ言いながら、3時間弱魅入ってしまったのでドラマとしては面白かったと思います

ただ、『世界的名作が今日本に蘇った』と謳っていたのが原作好きとしてはちょっと許せなかった(笑)。
副題として『レ・ミゼラブルより』くらいにとどめておいた方がしっくり来たかと思います
