聞こえなくなったのですよ蚊が飛んでくる音が。

5000ヘルツ以上の音はまったく聞こえませんから。

一般に"プ〜ン"と言われる蚊の音は私の脳に伝わらない。

昔は良く聞こえたんですよ。

過去に手で打ち落とした蚊の数は役に立たない政治屋くらいいましたよ。

訓練によって暗闇でも叩けるようになっていましたからね。

私の皮膚上の燃料補給ポイントに着地する前に全機打ち落とされていった。

羽音は蚊のウィークポイントだと思っていましたよ。

ハエのように無音で飛べると蚊のドローン攻撃性能はもっと上がったと思いますね。

しかし今の私は蚊の接近を知らせる音波レーダーが壊れてしまったままです。

蚊は私の防空圏をすり抜けて襲ってくる、小走りで逃げたくらいでは追ってくる。

そしてハエのように無作法では無く、そっと優しく、着地し補給し飛び去っていく。

痒みで刺されたことを知ったときにはもう遅い。

何か防御法を考えないと失血死するかもしれない。

一説によると一度血を吸った蚊は一生ずっと生きられるらしい。

なんて楽な人生?なんだ、たった一度の危険を冒すだけで一生安泰とは。

私の生きるか死ぬかのような毎日は何だったんだろう。

もう一説によると私の血を吸った蚊は直ぐに燃料を投棄してるらしい。