お隣の集落のyさん夫婦。

朝のラジオ体操に夫婦揃って毎日来ていたのが4年ほど前のことです。

何故お隣の集落の人が来るのかといえば、三つの集落が合わさって一つの区を形成しているからで、ラジオ体操は区の集会所で行っているのです。

少し足が悪い奥様だったが両手杖を使って歩いてこられていました。

転倒してコロナ禍の病院に入院されて、あれよあれよという間に弱ってしまい、亡くなられました。

残された旦那さんは今年の春まで体操に来ていたが暑くなって来なくなってしまいました。

二人三脚で生きてきたyさん夫婦ですから一人残された旦那さんにとって日々の生活は大変になったのだろうと思われます。

息子さん夫婦が近郊の町に居られますがyさんの面倒を見る余裕はないのでしょう、ほとんど見かけたことがありません。

yさんはずっと続けてきた米作りもやめてしまいました。

その休耕田の景観維持はいまのところ集落共同体で行っており、私がハンマーナイフで草刈りをして別の方がトラクターで土起こしをしています。

1年に1回しか出来ませんから草は今また背丈ほどになってきました。

yさんは自然や芸術への造詣が深くバラ造りをしたり絵を描いたりもします。

yさんの造っているバラ園は個人的に出来る範囲を超えていて多くの人が観に来ます。

途中の分かれ道には「●田ローズガーデン→」の手書き案内板があります。

私の姉もバラが好きなのでその手間の大変さや情熱維持の必要性を知っていますが、yさんは300株ものバラを育てているのです。

いったいいつまで続けられるのかということが地域で問題になってきました。

何せ一人でやっているのです、その負担は計り知れない程のものでしょう。

今のところ誰も手伝ってくれる人は居ません。

yさんは観に来てくれる人のためにもバラ作りをやめることができないのです。

近い将来誰かが手伝わないとバラ園の維持は出来ないでしょう。

バラ園がイバラ林になってしまった風景は見たくありません。

yさんは紫陽花もたくさん植えたのですが手が回らずに放置してしまいました。

その景観が好ましくないので3月に皆が出て根本からバッサリ全部切ったのですが、今また何事もなかったかのようにこんもりと茂ってきています。

いや本当に、この先この集落は植生に飲み込まれてしまう危機に直面しています。

私は最近剪定鋏を持って散歩に出かけます。

道端から路上に延びている葛の蔦をパチパチ切りながら歩いているのです。

中にはガードレールや道路標識に頑固に巻き付いている蔦も有ります。

適度な指の運動にもなって良いかなと思っています。

もっと早くに思い付けばよかったのですが。

昔の人はそのようなこまめな作業の積み重ねで美しい里山を維持していたのでしょうね。

人が少なくなってそういうことが出来なくなってしまったんです。

 

 

yさんのバラ園(過去画像)