私はたぶん相当いい加減な人間である。
妻によく言われていたように自分に甘い。
少し医者に褒められただけでもう本当の自分の姿を見失っている。
今も生活習慣病の見本市のような薬漬けの不健康な体なのに。
物忘れが多くなってそのことも忘れてしまっている。
そして現在何を望んでいるかというと、
戻りカツオの身を炊きたての新米ごはんに載せて熱々のお茶をぶっかけることに頭の中はいっぱいになっている。
脳が覚えている鰹の出汁の味が唾液をわき出させている。
妻が新婚当時そんな私の奇行を傍で見ていて、ギラギラと脂が浮いた茶漬けの表面に目をやった瞬間、ゲロ吐いて私と一緒になったのを後悔した鰹の食べ方だ。
いつもの玄米めしではそれにふさわしくない、透き通るような白米めしでなければならない。
半年以上食っていない銀シャリに手を出すことはもう避けられないだろう。
更に、傍にはトロ鰹の刺身と焼き上がったサンマが有りスッキリ冷酒土佐の美丈夫が控えているのが望ましい。
節食断酒していた私の輝ける経歴はあっさりと終わるだろう。
既に2キロ増加してしまった体重がこの先秋も終わる頃にどの程度まで増加し私を後戻りさせるか、健康意識の低下が立ち直れる範囲におさまっているかどうか、今のところ私の頭の中ではそれは重要なファクターになっていない。
たぶん後悔することになるだろう。
そして又暫くの間修行生活をすることになるだろう。
それもいいじゃないかと思う、自分に甘い私がいる。