私(良平)はこの町営ジムに不自然なにおいを感じていました。

半世紀ぶりに都会からUターンして田舎暮らしを始めた私に、町営ジムの存在を教えてくれたのは近所の主婦たちでした。

子供の頃一緒に遊んでいた私が、見るも無惨な様相に変わっていたからでしょう。

過疎化で近い将来消滅する町に何故こんな素晴らしい福祉施設が有るのだろう?と不思議に思っていました。(規模は小さいが20台ほど筋トレマシンが有り、何より無料で使える)

元教師であったお隣の奥様があるとき「あのジムは私が町に作らせたの」。

そう言っていたのも少し気になっていました。

そんなとき、真相を探るのに頼りになるのが私の嫌いなGoogleです。

Googleの情報を全面信頼するつもりは有りませんが、

少なくとも「Google maps」はウソをつかないので(本当かな?)、現役時代頼れる相棒でした。

ジムの周辺をストリートビューであらためて確認してみると何かの手がかりが得られるかもしれません。

あれっ。

無い。

ジムは写って無い。

Googleはジムの存在を無視?したようだ。

ジム敷地の手前で撮影車は動きを止めてしまった。

その先に何がある?

これだ。

撮影車がそれ以上進入するのを躊躇ったのはこの碑が写ってしまうからだ。

この碑の主から連想することは。

・右翼

・戦犯

・スパイ

・反社

・政治結社

・競艇利権

・カルト宗教

・その他社会に好ましくないと考えられる存在

私の中ではそのようなものだ。

いずれにしても、Googleも引いたようだ。

 

この村には二つのダム湖がある。

エメラルドグリーンの湖と緑の山々は見事に絵になる。

その風景が作り出す四季折々の風情を求めて多くの人々がこの地を訪れる。

下流のダム湖は漕艇競技に使われ、昔この村に有った県立高校漕艇部の練習場でもあった。

私が春に村を出て行った昭和50年に、この県では国体が開催され数少ない漕艇競技の会場となった。

そのときこの碑の象徴する人物の流れ継ぐ組織がこの村に関わってきたようです。

私はそれ以降の村の出来事を何も知らず、この碑の主の影響下にある組織が及ぼしてきた村の歴史に疎いのです。

Googleはきっと、この碑のいやなにおいを嗅ぎとり近づかなかったのでしょう。

私の中ではこの碑から漂うにおいは近年起こった”彼”の暗殺事件によって更に強くなっています。

この碑の主の影響下の財団は水にまつわる縁でこの地に入り込んできて、各種箱物を建てそれらはやがて村に寄付されていきます。

町営ジムもそれら一連の流れを汲んでいます。

私はこの碑の主や、暗殺された”彼”の祖父であった、戦後進駐軍によって戦犯を逃れ生き残った者達が亡霊のごとく村に影響を及ぼしているとは思っていません。

現在、世界平和を希求し青少年の健全育成などを標榜している日本財団やB&G財団の理念が好ましくないと思っているわけでもありません。

ただし潤沢な財源は貧しい人々から巻き上げた、浄財とは言えないものであることに疑問を持たずにはおれません。

私はギャンブルというものが根っから嫌いで、一切人生に関わることを拒否してきました。息子が息抜きにやっているパチンコも良くは思っていません。

射倖心を煽るギャンブルや宝くじなどの不労所得は本来社会にあってはいけないと思っています。

その、私の中ではあってはならないことがこの財団の資金源になり、さも慈善事業の如くにこの村にもばら撒かれているのです。

この県では碑の主が昔々攻撃対象にしていた勢力も又強かったのです。

今は同じような理念のもとに共生していますが、この碑が村に落としていった資本や財団の正体に対する関心度は高かったはずです。

落としていくものは落としていけとなったのでしょうね。

せめて村人に有効に作用するようにとの思いがこの町営ジムを実現させたともいえるでしょう。

「ものがたり」とは異なり町営ジムの運営は町の教育委員会の管轄になっています。

お隣の元教師の奥様に「私が町に作らせたの」と言わしめた思い込みは、あながち間違ってはいなかったようです。

 

やはり「ものがたり」では無かったんだ、良平はデオドラント症候群なんだろうね。