昨夜の夢は怖かった。
人生で最大級の怖さだった。
この夢を見た訳にはいくつかの伏線が敷かれていたように思う。
・私は頭頂部が好ましくない様相を呈している。
幸いそれは鏡をみても見えない後寄りの位置なので日常は忘れている。
妻が生前私に悪態をつくとき「○ゲ」と言うことがあったが自分の事だとは思わなかった。
時たま遭遇する合わせ鏡や後方から撮られた写真によって知ることになった。
・「一万本のトウモロコシ」のk君を良く知る新聞の集金人に「k君の脳梗塞後遺症は治るでしょうか?」と尋ねると、『絶対治らないと思います、私の夫も40代で脳梗塞を2回起こしk君と同じ状態でしたが、そのまま死にました」そう聞いたこと。
・お隣のAさんの奥様がくも膜下出血で倒れ、意識不明のままもう半月以上が経ちAさんは憔悴しきってしまいかける言葉も無い。それでも毎日娘さんに連れられて病院に通い妻に話しかけ、自分を奮い立たせるために田んぼの草刈りをしている。
以上の事実が昨夜の夢に繋がったのは間違いない。
私は会社のロッカールームに居る。
スチールの味気ないロッカーの扉の裏に小さな鏡が貼り付けられている。
私はロッカーの中に頭を突っ込んで落としたハンガーを拾い上げようとした。
そのとき鏡のフチに挟まった髪の毛が引っ張られ頭皮がヌルッと剥がれた感触があった。
ヌルッとだ。
プチッと髪の毛が引きちぎられた感触では無くヌルッと皮膚ごとごっそり剥がれた感触がした。
見ると3センチ四方にメスで切られたような白くてぶ厚い皮膚が髪の毛と共にぶら下がっている。
痛みは無い。
頭部に手を当てると血も出ていない。
何事が起こったんだろう。
この3センチ四方の皮膚はもう永遠に実りの秋を迎えられないだろう。
血は付かないが指が何か柔らかいものに触れる。
私はもう一度剥がれた皮膚の方を見直した。
白くてぶ厚い皮膚に見えたものは頭蓋骨の内側であった。
そこで私は目を覚ました、その先の展開は見たくなかったから。
怖い夢だったよ。
その後なんとなく後頭部に痛みが実在しているが、錯覚だと良いのだけれど。
世の中はなんて無情なことだろうか。
妻もそうでしたが、
二人の子供を育て上げただけでなく地域の子どもたちの教育に人生を捧げてきた人や、地域社会への奉仕が生きがいだったような人物から体の自由を奪ってしまうのですから。
私のように企業に囚われてしまい自分から不健康になってしまった馬鹿者も居るというのに・・・
神様って本当は居ないんでしょうね。
まあ、私よりもっと残念な人も近くに居るんですけどね、まあええわ。