今回の修理作業の反省点と収穫を述べる。
まず不具合現象について私は実際に自分で運転をして確認をしなかった。
やるべきであった。
このお茶摘み自走機の操作は難しい為、hさんが使っている様子を見ただけに留めてしまった。
確かにhさんが言うように負荷がかかったときに一瞬止まるシャクリ現象が見えた。
hさんは25年間使い続けてきた熟練の操作者ではあるが、機械の不調を言葉で伝えることには長けていない。
その為に自身の予想として「クラッチが滑っている」とだけ表現した。
そしてhさんは機械の構造に関しては素人であり、クラッチがギヤケースの中に前進用と後退用の二つ実装されているものと思っていた。
そのことが何を意味するか?
hさんの感触として「前進・後進のどちらかのクラッチが滑りやすい」と感じていたものと思われる。
しかしその感触が私に伝えられることは無かった。
私はまっ先にクラッチを見てみたがまったく悪くなかった、次にVベルトを見てみたが悪いようには見えなかった。
そしてギヤケースの中身に疑念を持ってしまった。
私が途中報告と構造についての説明をし、hさんからも情報が伝えられるようになってきた。
「クラッチはエンジン側に一個だけなのよ、前進にも後進にも作用するの、運転方向はVベルトの掛かりを切り替えてるの」
『前進後進それぞれにクラッチが有ると思っていたよ』
「そんな複雑な構造にはしてないよ、説明書とか残してない?、この機械いくらくらいしたの?」
『25年前に35万で農協から買った、説明書も有る、これが無いと困る、一人でお茶刈りが出来ない』
hさんが持っている農機具の中でも重要な機械であるらしい。
私は既に原因はVベルトに有ることを確信したが今後も長く使えるようにとトータル診断をした。
そしてゴムクローラーを替えないと今後長くは使えないと話してhさんの判断を仰いだ。
hさんはゴムクローラーを替えてくれと言ったが、困った、たぶん現在は存在しないだろうと思った。
でも幸いメーカーに在庫品が有ったので、保証書を付けてもよいくらいの仕上がりとなった。
田舎の人とのコミュニケーションはこちら側が上手く誘導して相手の考えを引き出してやらないといけないと思っているが、今回それを再確認した一件だった。
また、善人以外の何者でも無いhさんが自身で農機具屋からゴムクローラーを入手したとしたら今回買った値段の1.5倍をボラれていただろうとも確信した。
不調原因のVベルト交換後
ゴムクローラー交換後
新旧ゴムクローラー比較
修理完了
スリムな形状
hさんにとって無くてはならない機械





