米価の高騰が続いている。
私は米作りをやったことが無いので米価についての捉え方は消費者寄りであると思う。
ここのところの野菜や乳製品等、食料品(にかかわらず多くの物)の値上がりは敏感に感じているが、米については米農家?の従兄弟から直接1年分まとめて買っているため(スーパーの価格を参考にして)日常的には値上がりを意識していなかった。
私は田舎暮らしの不便さからアマゾンや楽天のネット通販を利用することが有り、ふと思い立って過去の買い物履歴を探ってみた。
便利なもので過去の履歴や当時の価格が確認でき、同じ商品を現在購入するとずいぶん値上がりしていることが分かる。
さて米価はどうか、直近でこそ大きく値上がりしているが過去ずっと安定しており、生産者米価に至っては近年値下がりを続けてきた。
これっておかしいんじゃないのか。
他の商品がのきなみ値上がりしていく中、同じ価値と思われる物が値下がりしていくということが間違っていたのではないか。
生産者は燃料や肥料・農薬等、生産経費が値上がりするにもかかわらず生産者米価が下がっていく不思議をどうやって納得してきたのか。
私の集落に移住してきたsさんは自然農法にこだわり米作りをやって(無農薬天日干し)その米の価値を認めてくれる人達に直接販売している。
sさんが苦労して作った米の値段は高騰している現在の消費者米価よりさらに高い。
sさんが米作りを生業としそれで生活していくのにはその値段であることが必要なのだ。
価格が高いにもかかわらずsさんが作る米の価値を認め買ってくれる人が大勢いる。
それが正当な商取引ではないのか。
大勢の米生産農家は今まで何者かに搾取され続けてきたのではないか。
それは●協や米流通に関わる業界なんだと、皆知っているが戦うことはしてこなかった。
私の遠い記憶では昔生産者米価は消費者米価より高く設定されていて、その逆ざやは国(国民)が負担する仕組みになっていた。
国民の主食である米の生産を将来まで安定して続けていくための国の施策であった。
そのかわり米は勝手に取引が出来ないよう、やんわりと流通が規制されていたと思う。
いつの間にか自主流通が当たり前になって、そこに入り込んだ業界によって食い物にされてしまった。
業界は生産者からも消費者からも利益をむしり取ってきた。
農家は弱い立場に居続けて不遇な環境に慣されてしまったのだ。
今年の新米の生産者米価が農協から提示され、それを参考にした流通業者が買い漁りに走り回っていると報道された日、
米農家のおじいさんがTVの取材に答えてこう言っていた。
「私は高値で売ることを望まない、こんな高値では消費者は買えないだろう、国民の米離れを加速させてしまうのではないか」と、
私はその言葉をどう捉えたら良いのか分からなくなってしまう。
長く泣かされてきてもまだ国を憂うおじいさんの気持ちを言葉通りに受け止めてよいのだろうか。