少雨で水が無い

飲み水は有るが田んぼの水が無い

今までに経験したことが無い水不足だと附近の農家は言っている

果たして今年田植えが出来るのかどうかも怪しくなってきたそうだ

今月の後半が例年田植えの時期だがこのままだと後ろに延ばすことになりそうだと言っている

神頼みの雨乞いをやるにも誰も雨乞い歌を知らない

この地域は日本有数の多雨地域で雨不足で苦労したことが無い

水不足の時にどうしたら良いのかという知識経験が全く無い

温暖化による気候変動の影響は間違い無く此処にも来ているのだが

水利当番のSさんは早々に諦めて夫婦で草津温泉に逃亡していった

残されたSさん家の池の鯉の世話を私が頼まれている

いつもは田んぼの用水を絶えず池に流しているが今はそれがならず酸素不足になってくる

「朝夕2回15分間ポンプを回して酸素を入れてくれ」と言われている

何にしろ早く雨が降ってくれないと池も田んぼも砂漠になってしまう

私の遠い記憶では過去にも田んぼに水が無くて苦労したことはあったように思っている

今より田んぼは多かった時代なので現在と同じ水源からの水量では元々少しばかり足りなかったのか

父母は闇夜に出掛けていって他人の田んぼの水を自分の田んぼに回す我田引水をやっていた

それは他の農家にも共通した闇夜の作戦行動だったからいたちごっこになって結局だれかが得をすることは無かった

限られたパイを公平に分け合うこととなり夜の運動会として終わることとなった

この集落の水源に近いところに溜め池が有るのだがそこは何キロも離れた集落の農家が水利権を持っており此処の集落の農家は使えない

ところがその集落で現在も米作りをやっている農家は2軒だけになってしまったそうだ

有り余ってる水を此方の田んぼへ回して貰えれば何も心配することは無いのだけど誰もそのアクションを起さない

又、懐かしい夜の運動会がやりたくなったのかも知れない

そんなことを考えて居たら突然の雷雨が始まった

干からびた田んぼは一瞬のうちに水田になった

昔の人達が苦労して作り上げた用水路は山に降った雨の表層水を効率よく集めて皆の田んぼに分配してくれる

有り難きは自然の恵みと先祖様だ、感謝感謝である

夜の運動会はしばらく延期となってしまった