校舎の窓から見ていたススキの原はふかふかの絨毯のように見えた。
私は授業が解らないからススキの原ばかり見ていた。
無性にススキの原に行きたくなった。
きっとふかふかのススキの穂が私を包み込んでくれると思った。
ススキの原は遠目にはそのようにしか見えなかった。
行きたくて行きたくて我慢出来なくなってきた。
ある日友と2人でふかふかのススキの原を目指し登山をした。
窓から見てもはるか遠くのススキの原は実際に歩くともっともっと遠かった。
疲れ果ててようやくススキの原にたどり着いた。
そこは一面のイバラの原だった。
今でもあの風景が蘇る。
中学校の窓から見ていたススキの原が。
今は窓も教室も校舎も無い。