次は高速増殖炉の話。

自然界に有るウランはそれほど多くは無い。

水素など質量の軽い物質は多く、重いものは希少になる。

ウランは日本にも少々有るそうだが真剣に探してはこなかった。

真剣に探さなくてもエネルギー密度が超高いから大丈夫と思われていたのかも知れない。

核融合には及ばないが核分裂によるエネルギーも神の域に違いはない。

(核融合を利用する水爆は核分裂を利用する原爆の数千倍のエネルギーを出す)

ところが核爆弾(日本は作らないですよ)や原発を作り続けてくるともっと有っても良いかなと思い始めた。

ウランの半減期は45億年くらいだから地球誕生の頃からもう半分になってしまっている。

早く探さないと間に合わないじゃん、とは考えなくて良かった。

プルトニウムが人工的に創れることが発見されてしまったから。

いよいよ人は錬金術を見つけてしまった。

自然界に有るウランはU238であり、この中にわずかに同位体のU235も混じっている。

U235が人間の役に立ったり人間を壊したりする。

僅かな質量差を利用して遠心分離機でU235の濃度を高めると核燃料が出来上がる。

ところが役に立たなかったU238がプルトニウム同位体Pu239に化けることが分かった。

Pu239は核爆弾を作ったり原発の燃料に混ぜて使えるのだ(Mox燃料)。

どうやって創るの?

なんのことはない。

原子炉の周りに使用済みウランを置いとけば勝手に出来上がる。

中性子が飛んできてU238の原子構造を変えてしまう。

使った燃料以上の新たな燃料が生まれてくる。

もう濡れ手に泡の美味しい現象じゃん。

ここまではね。

その制御が出来ないのですよ。

Pu239を創れる高速増殖炉には冷却剤として水が使えないのです。

なぜなら中性子を高速のままU238にぶつけてやらなければならない。

水は冷却剤として安全で優れているが中性子を減速させてしまう。

扱いやすい水が使えないならどうすればいいの。

水の代わりに金属ナトリウムを使えばいけるって原発屋が思いついた訳。

金属ナトリウムは中性子を減速させずに素通りさせる。

しかし大変危ない物質で水と反応すると手が付けられない。

そして膨大な税金を投入して失敗し続け名前通りのオシャカになったのです、高速増殖炉もんじゅは。

理論的には可能なことが現実的には出来ない、無理だって分かったんだな。

机上の論理を現実は担保出来るものではありません。

諸外国はとっくにあきらめていたのに日本は原発屋がしぶとく抵抗したからそうなった。

ところが

未だもんじゅは生きのびてることになっているのです。

なぜ?

核燃料サイクルっていう夢物語りが日本には有るんですよ。

そのサイクルの中にはもんじゅが鎮座していないといけないのです。

(増殖を行わない高速炉であるとの見解もあるが金属ナトリウムを使う危険性は同じ)

今日はここまで。