昔々、

獣の一族と鳥の一族が戦争をしていた。

 その様子を見ていたずる賢い一羽のコウモリは、

獣の一族が有利になると獣たちの前に姿を現し、

「私は全身に毛が生えているから、獣の仲間です」と言った。

鳥の一族が有利になると鳥たちの前に姿を現し、

「私は羽があるから、鳥の仲間です」と言った。

その後、鳥と獣が和解したことで戦争が終わったが、

幾度もの寝返りを繰り返し、双方にいい顔をしたコウモリは、鳥からも獣からも嫌われ仲間はずれにされてしまう。

「お前のような卑怯者は二度と出てくるな」と双方から追いやられて居場所のなくなったコウモリは、

やがて暗い洞窟の中へ身を潜め、夜だけ飛んでくるようになった。

とさ。

で、

飛んできた。

数日前から家の中を飛び回っている。

超音波を使ったエコーロケーションは瞬時に障害物を探知して私が振り回す虫捕り網には入らない。

壁に止まったところを捕えて外に放す。

しかし又どこからともなく入ってきて飛び回っている。

 

花子、「蚊とか捕ってくれる益虫でしょ」

太郎、「虫と違うやろ」

花子、「鳥?」

太郎、「ちょっと雰囲気が違うような・・・」