山で拾ってきた錆の塊。

たぶん父愛用の鉈だろう(だったんだろう)。

少なくとも30年は風雨に曝されていたようだ。

(今伐採している木がおおむね30年生であるから、それ以前は鉈を使って山の手入れがされていたはず。)

この鉈を復活出来ないだろうかと思いやってみた。

 

小ぶりで使いやすそうな大きさ。

がんこな赤錆。

錆取り液に浸けて錆落とし。

あかん! 鋼(黒く変色した刃の部分)の残量が少な過ぎる。

「土佐西山清瀧特製」と読める。

残念ながら真剣正宗にはなりそうにも無い。

深く錆に浸食されている。

飾り物なら造れる・・・かな?。

 

みちくさ

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%82%E5%8A%B9_(%E9%87%91%E5%B1%9E)

金属には「時効」という不思議な現象が有り、特にアルミニウム合金の「時効硬化」は顕著だ。

鋳造されたり溶接されたりした金属が本来の硬度(強度)を発揮するには時間の経過を待つ他にない。

肉を寝かせて食べ頃を待つように、金属も食べ頃を待つ必要がある。

工場で生まれたばかりのポルシェをぶっ飛ばすと、エンジンやフレームが破損するのは未だ食べ頃になっていないからだ。

鋳造品を機械加工するときは何年も雨ざらしで放置した赤さびの材料を使うと内部応力が抜けており精密な製品が出来上がる。

歳をを重ねる以外に成しようがないことは人の世界にも物質の世界にも有るのだ。

よこみち

現在の記録媒体が何時まで劣化しないでいられるかは時が経ってみないと分からないが、樹脂や半導体が石や陶器より長持ちするとは思えない。

ビッグデータは案外もろい基盤の上に存在している。

石や陶器は遙か昔からの情報を伝える媒体として実績を持っているが、これとて不変では無く地球が太陽に飲まれたら蒸発霧散する。

不変なものなどこの世に無い。

 

 

 

 

 

花器    銘:黒ダイヤ

Kenichi Museum