現在進行形

 目覚めの気分が悪い。

うだうだと床に沈んでいると浅い眠りを繰り返しながら2・3時間が過ぎてしまう。

勤め人の頃は5時にスッと起きれたのに今は「エイッ」っと掛け声だけ出しても身体は布団の中に留まったままだ。

何かをやらなければならないということが無いからなのか、そんな日常がつまらないからなのか。

毎日、起きるのは父母が朝食を終わったころになっている。

(父母の朝食は食パンにバナナ、定番なので私の手を必要としない)。

寝床の中で父母の会話を聞いている。

相変わらず母のトンチンカンな話しかけに父が辛抱強く応えている様子が伺える。

「又一日が始まるのか~」。

言いようのない憂鬱感のままやっと寝床を出るのが9時頃、という堕落ぶりだ。

裏口から外に出てタバコをふかす。

静かだ、周囲に生活音はない。

この村はコンビニも無いド田舎だ、人の気配より鳥獣や草木の気配が勝る。

咲き始めからずっと見続けてきた梅の花ももうじき散り終わる。

気温は10度近いのに身体を動かそうという気力が出てこない。

カラスが嘲笑うように鳴いている。

「嗚呼、カラスよ、お前は頭も良くたくましいから、私のことなどつまらない人間だと思って見ているのかね」。

思わずそんなことを思いながらカラスの方を見るとカラスは目を逸らせてしまう。

母は30年も前に亡くなった祖母を思い出し、探し回って、「婆ちゃんは何処に居る?」と聞いてくる。

真実を伝えても母の頭の中ではまだ生きているのだから・・・どうしようもない。

さみしい・・・

何か心に変化を起こさなければこの寒村に押しつぶされてしまいそうだ。