次なるドキュメント

 妻のショートステイ先は家から5分、信号を一つ渡るだけの近くである。

前年に近隣の施設を二人で見学に行ったうちの一件であった。

近くであるがゆえ便利も不便も共存し、始めの頃は良く呼び出されてスイーツなど買い出しに出かけた。

この頃は月初めから2週間ショートステイを利用し残り2週間程は自宅で訪問介護を受けていた。

医師の往診は自宅で月2回行う契約なので訪問インターバルは短くなる。

薬は月一回処方され往診医が端末で薬局に伝送すると届くシステム、であるが私は気晴らしのため都度取りに行っていた。

妻の病名のせいか、あるいは薬が高額なためか、何時も薬局の応対は親切で昼休み中に訪れても作ってくれた。

妻はパーキンソン病用の薬を服用しており、「飲むと効き目が分かる」?と言う。

往診、訪問看護、訪問リハビリ、訪問入浴、食事介助等で妻の在宅中のスケジュールは密になる。

私が投げ出した猫も休日には一時帰宅してきて妻の元に張り付いて私には近づかない。

私の精神状態は装っている程良くないことは自分で分かっていた。

 この月から私は妻がショートステイ中には田舎の両親の身守りに行くことにした。

頭の中でグルグル巡る漠然とした心配ごとの中から両親のことを消し去りたかった。

ところが心配は消えるどころかくっきりとした輪郭を持って見えてしまった。

今まで姉が一身で背負っていた両親の世話が展望の見えない重く辛いものと知った。

田舎のキッチンで又アルコールに手を伸ばすことになってしまう。