次なるドキュメント

 2016年11月から失業者となった。

妻を介護し始めて3ケ月が経過し、早くも私の精神状態は良くない。

仕事を無くした喪失感と、目の前にある介護の現実と、将来への不安。

もやもやふつふつと湧き上がってくる、何とも言い表せない焦燥感のようなものが付きまとっていた。

一人散歩に出かけても気分は晴れない。

アルコールを入れるとふっと気分は軽くなれる。

しかし又気分は落ち込む。

橋の下を流れる水を見ては流れ過ぎ去ってゆく時間におののく。

コンビニで酒を買ってはすぐ飲み干し、それを何軒もはしごする。

嫌悪感に支配されて部屋に戻るとき、

8階でエレベーターを降りた廊下で何時も浮かんでくる思い。

「飛べば楽になれる」

下を見て確実に死ねることを確認する。

それはほんの簡単な動作で実現できる。

廊下の手すりに手をついてヒョイッと乗り越えれば良いだけだ。

楽なもんだ。

そんなシミュレーションをしては、体が不意に動いてしまわないか怖かった。