現在進行形

 福島原発事故による除染作業で集められた膨大な汚染土が原発周囲の中間貯蔵施設に移され始めている。

それは放射能汚染地から削り取った、主として田んぼの土である。

完全に除染されたとは思っていない農民が、見るたびに暗い気持ちになった、各地に山積みにされていた黒い袋の中身である。

長い年月をかけて育ててきた、とろとろで小石一つ混じっていない栄養満点の田んぼの土である。

百姓にしか解らない心情があるだろう、運び出される汚染土の総量およそ1400万立方メートル。

それを国は分別して汚染度が少ない土から順次全国の公共事業、主として道路工事で再利用すると嘯く。

最終的にはすべて県外に持ち出すと約束されているが約束を反故にするのは今の政府ではない。

農家は笑っていることだろう、分別なんて土いじりをしたことのない者が考える絵空事だと。

土は細かく砕かれ耕されて一粒一粒が目視できない程とろとろになるまで農家の血を注いである。

そんな土から放射性物質を分別するなどというのは正に砂漠から一粒の砂を拾うようなこと狂気の沙汰。

中間貯蔵ではなく最終処分場になるであろうことは地元が一番知っている。

帰ることは永久に無いだろうと、原発周囲で用地買収は進んでいく。