以前も書きましたが、一次保護所では恋愛は禁止です。

と言いつつ先生達も、いちいち子ども同士の恋愛に口出ししていませんでしたが。


児童相談所で私も少し気になる存在の男性がいました。学習担当の先生である「浅井先生」です。


浅井先生は、当時推定20代半ばから後半くらいの年齢の先生でした。


多分教員免許を保持しており、主に生活よりは子供達の学習の面倒を見てくれる先生でした。


浅井先生は、黒髪短髪で爽やかなイケメンでした。

勉強の教え方も1番上手でした。

他の先生は中学数学の質問をすると、その場で考え込んでしまうことが多かったのですが、浅井先生はすっと鉛筆を持ち即答してくれていました。


当時15歳の私からすると10歳以上も歳が離れていることになりますが、思春期の時って大人の男性が魅力的に見えますよねラブ飛び出すハート

それに加え、私は昔から知的な人がタイプでしたので浅井先生にキュンキュンしていました。


嬉しかったのが、浅井先生は誰よりも私のピアノを熱心に聞いてくれていたことです。

前のブログにも書きましたが、私は合宿コンクールで3年間課題曲の伴奏者を務めていました。


学習室にあるキーボードで、休み時間伴奏曲を弾くと浅井先生は嬉しそうに近寄ってきて聞いてくれていました。何でも浅井先生も中学時代同じ曲を歌ったそうです。


他の子が適当に「ネコ踏んじゃった」とか演奏している時でも「ポコポコの聴きたいから次譲って!」と言っていました。


実は、児童相談所に入る前に習い事のピアノの発表会でショパンの「子犬のワルツ」を演奏する予定になっていました。


ところが予想外に児童相談所に入ってしまったために何の連絡も出来ないまま発表会をドタキャンする羽目になってしまったのです。


だから、こうやって聞いてくれる人がいる前で演奏出来ることが私自身嬉しく感じていました。


浅井先生があまりにも熱心に聞いてくれるので、何か浅井先生のためにピアノを練習したいと思い始めました。


浅井先生は合唱曲が好きでしたので、知っている合唱曲を聞き出し、限られた時間の中で弾けるようになれそうな曲を選び練習を始めました。


それは谷川俊太郎の「春に」という曲でした。

自分のクラスでは歌ったことはないけれど、国語の教科書で勉強していた内容でしたので親近感の湧く曲でしたし、伴奏もそこまで難しくありません。


担任の先生が児童相談所に訪問する前に、楽譜を音楽の先生に頼んで持ってきて欲しいと伝え、持ってきてもらいました。


1日30分、キーボードを借りられる時間があるのでその時間に毎日練習しました。浅井先生には内緒です。


私が退所する時期がおよそ決まった頃、温めていたこの曲を浅井先生に披露しました。

浅井先生は、伴奏に合わせて喜んで歌ってくれていました。


私は奥手でシャイでしたので、

「浅井先生のために練習したんですよ。」

とは伝えられませんでしが、今思えばそれくらい言えば良かったです笑い泣き


浅井先生は、先生の中でも結構ズバズバハッキリものを言う方でしたし、厳しめの人でした。


私と同学年の男の子が後に入所してきたのですが、その子は勉強が大の苦手で学習の時間よく居眠りをしていました。


浅井先生はそれを見つけると赤ペンを投げつけて「おはよう」と起こしていました。

今の時代では少し問題になりそうですが泣き笑い


私にはとても優しかったです。

仲良かった子が退所する際、泣いてしまったときは頭を撫でてくれました。


私自身の退所がほぼ決まり、行きたくもない養護施設に連れて行かれてしまうことになった時はワーカーさんと面談の度に泣いて一次保護所に戻って来ていました。

浅井先生はそんな私を呼び出して個別で慰めてくれていました。


「ポコポコは我慢強くって、自分の主張を普段しないけれどここはしっかり主張しなよ。施設に行きたくないんでしょ?」


そう言って励ましてくれていました。

まぁいくら主張したところで、帰れる安全な家がない以上施設行きは免れることが不可能なのですが。


浅井先生が私を恋愛対象として見ていたはずはもちろんありませんが、他の子より少し贔屓してくれてはいたなぁと思いますニコニコ


中3の夏のちょっとした淡い出来事でした。