加納朋子

『二百十番館へようこそ』

文藝春秋・四六判ハードカバー



大きく括れば

日常の謎系に含まれるのかも知れません


二百十番館へ来ることとなった

最初の理由が

最後に綺麗に

回収されます


綺麗過ぎることが

最大の不満でもあったりするのですが


全てを知った上で

もう一度読み返したくなる物語って

正直に言って

それ程は多くないんだけれど


この物語は別


ただ


心が不安定な時には


読み直さない方が良いのかも


涙は心の

精神安定剤



序盤の

割と早いところで

もう涙腺崩壊


読み通しながら

何度も頁を捲る

巡る手が止まってしまう



 やがて大樹の周りには、七色の花弁を持つ魔法の花畑ができた。

 その中心に、【タビオカ】さんの〈聖職者〉のアバターが佇んでいる。



美しくて

哀しくて


ずるいよ

加納さん

こんな場面を描かれたら


そして

読み返した時ならば


嗚咽が漏れてしまうじゃないですか