日本が戦争(特に太平洋戦争)していた頃、
「お国のため」として、全国民が戦争に協力していました。
国の言いなりになることは立派なことであり、
むしろ国の言うことを聞かない人は非国民、ということで、
国民が率先して政府の敵を罰していたものです。…。
今では、政府を批判することは当たり前のことで、
政府を批判しただけで国民からリンチを受ける、
などということはもちろんあり得ません。
それが当たり前だと思っている人が多いですが、
もし政府が、政府を批判した人を罰する法律を作ってしまえば、
政府を批判した国民を罰するよう、国民が積極的に動きます。
「そんなバカな!」と思うかもしれませんが、実際そうでした。
そしてこれは、会社や学校でも起こっていることです。
例えば、社長が決めたとんでもないルールでも、
一旦、社内ルールとして社員が受け入れてしまえば、
それは守って当たり前のルールとなります。
もしそのルールを守らない人がいようものなら、
「俺はこんなにも苦しい思いをして
ルールを守っているというのに、
お前ときたらなんだ!」と、
みんなでイジメるようになります。人は、
自分よりも楽している奴が許せないのです。
いつの日か、コロナで自粛が求められていたとき、
みんな我慢しているにも関わらず外出していた人を、
国民(俗に自粛警察)が罰していました。
政府の対応を批判するよりも、
自分の周りで自分よりも苦しんでいない人がいる状況は、
自分にとっては我慢できません。それが人間です。
組織は良い方へも悪い方へも動くものです。お上の言い付け
を守って自分が苦しい思いをしたなら、周囲の人にも
同様に苦しい思いをすることを求めてしまうからです。
(完)