秋晴れの空の下、地域のイベントへ参戦してきた。

川の清掃活動から始まり、おにぎりと豚汁の無料提供、そしてメインイベントの釣り大会。 娘と、その友達チームを引き連れて賑やかに参加したのだが—。

「釣り大会」のルールなんて、子どもたちにはどこ吹く風。

仕掛けを落とすどころか、魚を見るや否や、服のまま川へ勢いよくダイブ!!

 

バシャーン!と弾ける水飛沫と、甲高い歓声。 魚を釣るどころか、自分たちが野生の魚になったかのように川と一体化して泳ぎ回っている。

…うん、これでいいのだ。

お昼は河原で、温かい豚汁とおにぎりを頬張り。

 昼過ぎまで思いっきり川で泳ぎ倒し。 夕方は友達と一緒に大きな風呂に飛び込んで、そのままみんなで夕飯を囲む。

最高の、フルコースである。

 

我が家は共働きだ。 普段の平日は、私たちが仕事を終えるまで児童クラブで過ごしてもらい、そこから習い事へと向かう日々。

大人だって働くのは大変だが、子どもだって毎日小さな社会で気を張り、我慢し、がんばっているのだ。

だからこそ、テストのないたまの休日くらい、勉強のプレッシャーなんて完全にゼロにして、泥だらけ・水浸しになって遊べばいい。

自然の冷たさを肌で知ること。 

友達と一緒にお風呂に入って笑い転げること。 こういう生きた体験こそが、机の上では絶対に学べない人間の基本体力になるのだから。

…そう、心から思っていた。

親としてたまの休日くらい思いっきり遊ばせてあげようと達観し、優雅に温かい豚汁を啜っていた…はずだった。

 

なのに。

 

激しく流れる川の曲がり角で、無邪気にバシャバシャと遊ぶ娘の背中を見つめていた、その一瞬。

私の脳内で、中学受験の理科のテキスト(大地の変化・川の作用)が勝手に開いてしまう。

喉の奥で、何かが猛烈に暴れ出す。

 

「(黙れ…黙るんだ、じゅけんぬ…! 今日はただ楽しませてやるんだ…!)」

 

指を噛んで耐えようとしたけれど、ポロポロと受験親の浅ましい下心が漏れ出てしまう。

 

「…ねぇ! 川の外側と内側、どっちの流速が速いか分かっちゃうんじゃない!? これ侵食と堆積の実戦データだよ!」

…あぁぁぁ! また自然の思い出を理科の知識に還元しようとする最低の一言! 純粋な川遊びに、受験の特濃調味料をぶちまける愚かな親!

川から顔を出した娘は、濡れた前髪を払いながら冷ややかに一言。

 

「…じゅけんぬ、うるさい。今魚探してんの。」

 

即・撃沈である。 友達からも「おじさん何言ってるの?」みたいな生暖かい視線を浴び、親の脳汁と情けなさがドバドバと溢れ出す。

完璧な親なんて、どこにもいない。 

「体験が大事」と格好つけながら、すぐテストの知識に繋げようと欲を出してしまうのが、私たち受験親の悲しき業なのである。

 

でも、まあいい。 

今日の川の冷たさも、豚汁の温かさも、友達と笑い転げた夜も。

 いつか巡り巡って、彼女の人生の豊かな糧(できれば理科の得点にも)になってくれると信じている。

クトクトに疲れて帰りの車で爆睡する横顔を見ながら、今日も静かにコーヒーを飲むのだった。

 

あなたのおうちでは、テストのない休日にどんな「全力遊び」をしていますか? 

「うちはアウトドアで泥だらけです!」「ついつい理科や社会に繋げたくなっちゃうの分かります(笑)」など、気軽にコメント欄で教えてくださいね!