ゼロは、病気の身体を引きずりながらお供二人を連れて、竜宮・良治の勤める
一流企業の電気会社の前に来ていた。
ゼロ「さ、行きましょう」
セカンド「ホントに行くのか?今までのようにはいかないと思うんだが・・・」
ゼロ「世の中多少アグレッシブなほうがいいんです。さー、行きましょー」
ファースト「あんたアグレッシブすぎるでしょ!!」
ゼロは入るなり、近くを歩いていた女性職員を呼び止めた。
ゼロ「あ、すいません。ちょっといいですか」
女性職員「何でしょうか」
女性職員は、にこりと笑ってゼロの質問に答えようとしている。
ゼロ「先日お亡くなりになられました、竜宮・良治さんのことでお話を・・・・・」
その言葉を聞いて、女性職員の顔は一気に曇った。
女性職員「貴方、新聞社の方ですか」
ゼロ「いや、ちが・・・」
女性職員「あの人は、人を殺すことなんてできませんし、殺されるほどの恨みを・・・・・・
いや、少しでも恨みを買うような人はありません!!帰ってください」
まるで取り付く島もなかった。その他の職員もまた同様。平社員は勿論、上層幹部の
人達に何とか取り合って聞いてみると、その人間たちにも非常に好かれていた。
全員、『彼は虫一匹殺せないほどやさしい人』と口を合わせて言う。
ゼロ「すんごいですねぇ。上層幹部ならともかく、平社員全員に好かれてる人はそうそう
いませんよ」
セカンド「不自然すぎるほど好かれてないか」
ファースト「賄賂でもあったのかな」
ゼロ「職員全員に賄賂を贈る金があったとは思えませんが。しかも、
ただ好かれるためにそんなことするとは思えませんしね」
クイナ「えーーっと、13年前。一家惨殺事件、誤認逮捕・・・・。あった。最有力容疑者、
竜宮・良治。・・・・被害者遺族は、恵畑・百合子(エバタ・ユリコ)76歳。
・・・・・二日前自殺・・・・・」