さて、準備運動も終わったことだし、そろそろ飛び降りますか。

 

          遺書もバッチリ。誤字もないし、日本語が変な部分もない。完璧。

 

     私は靴を脱いで、フェンスの先に立った。ホントに綺麗。この星空も、夜景も。

 

             私が死んでもなぁ~んにも変わらないんだろうなぁ。

 

           私は、死んでもこの風景を見てみたいと思た。見れないケド。

 

      丁度、この廃ビルの下を一人の男性が通った。私が直撃すると危ないので、

 

            通り過ぎるのを待った。私の方を見て、中々どかないので、

 

   〝どいて〟と身振り手振りで伝えようとして、伝わったようで、ようやくどいてくれた。

 

          よくよく見ると、青い目が綺麗な、美しい外国人だった。

 

       あんなにかっこよかったら、人生悩むことなんてないんだろうな・・・・・

 

   私はちょっと嫉妬した。今から飛び降りて、トラウマにならないかちょっと心配したが、

 

     きっと他の人達がそれを慰めてくれるんだろう。なんたって、あの顔だもん。

 

     私は、誰にも止めに入られないまま、このすすけたビルから飛び降りて、

 

         地面に叩きつけられて、血を飛び散らせながら死んだ・・・・・・・・

 

 

 

 

    そんなことにはならなかった。確かにこのすすけたビルから飛び降りた。

 

       だけど・・・・・・、手をしっかりつかまれて、落ちることは無かった。

 

   重力がなくなったとか、地面が消し飛んだとか、そんな事ならあきらめもつく。

 

       でも、私の人生の終わりを他人に邪魔されたのは許しがたい。

 

             私は、その腕の先を見た。その先には、

 

            ???「おい、なにしてんの。危ねぇぞ」

 

            その先には、あの青い目をした外国人がいた。