パーフェクトデイズを見た感想の続き。

 

 

見ているお前はどっちなんだ?と訪ねられている気がしてならない。

 

 

先日書きたいこと、思ったことを内容についてはざぁっと全部書き出しておいた。

だから今回は細かいシーンを考えておこうと思う。

ま、補足みたいなもんだ。

 

今回取り上げたいのは主人公である平山とその他の人物との比較だ。

特に今回は同じトイレ清掃員だったが映画途中で突然仕事をバックレた若い男タカシ。

そして突如家出して平山のボロアパートに転がり込んできた姪のニコ。

この2人の若者と比較したい。

 

作中にはもう一人タカシが狙っていた女アヤも登場するのだが、印象的なシーンはあるにはあるが性格まではわからないミステリアスな存在だったので今回は割愛する。

 

前回作品の内容についてはこれでもかと書いておいたのでざっくり作品内容を振り返る。

パーフェクトデイズは東京都のボロアパートに住むトイレ清掃員平山の何気ない日常を追いかける映画だ。

トイレ清掃員である平山の日常は朝早くから東京中のトイレを回り清掃をし、午後に帰宅(おそらく3時~5時)。銭湯で一番風呂に入り、行きつけの飲み屋で晩飯。あとは家で寝落ちするまで読書というルーティンを持っている。

ここに色々な非日常(とは言ってもやはり日常の延長にあるようなもの)が起きて、それを楽しむって内容だ。

 

 

●生き急ぐ若者タカシVS今を大切にする平山

タカシは作中でしゃべらない平山に比較するとよく喋る。

口癖は「10点中●点」でとにもかくにも数字にしたがるが、彼女であるアキはその表現を嫌っている。

「金がないと恋愛もできないんすか」「おかしいですよ」と何度も口にし平山からお金を借り、その成果むなしくアキとの関係は破局、突如後日の朝になると仕事をバックレた。

衝動的で、退屈なことが嫌いで、やる気がないことにはとことん手を抜くがやる気になると行動力を見せる、大体そんな男だ。作中で平山にどうしてこんな退屈な仕事を続けられるのか?と訪ねているが、無口な平山はこの質問にもやはり答えていない。

 

印象的なシーンは金に困ったタカシが、平山の車にあったカセットテープに目を付けアンティークショップに無理やり連れて行ったところだろう。

タカシはそのテープたちが数万円の価値のなると知って換金すべきだと言う。

だが平山は首を縦に振らない。

アキはどこぞの店に所属しているのだがタカシは現金に困っていた。そこで平山のカセットテープを売ってその金でアキの店に行こうとしていた。改めて考えてみると最悪の思考だな。

ここで飛び出るのが「金がないと恋愛もできないんすか」「おかしいですよ」という謎理論なのだが、とにかく今に満足できず彼女の所に行くんだ。恋愛をものにするんだ。という今に満足せず、その先に視点があることが描写されている。

 

興味深いことに平山はタカシから数万円だってという興奮した様子には、何の反応も見せていない。

その一方で店にある商品のカセットテープは興味津々なのだ。

平山は無口だが、表情には出やすい男なのでここら辺に注目すると何となく平山と言う人間を知れる気がする。

そしてこの平山は日常生活をこよなく愛し、日常が乱されることを極度に嫌う。

平山は小さな幸せを拾うのが得意で、今に満足する天才だ。その一方で新しいことには目を背ける傾向がある。


タカシにとってカセットテープは目的のための換金対象で、

平山にとってはカセットテープは今を楽しむための財産だ。

 

結局ごねるタカシになけなしの現金すべてを渡し、カセットテープは売らないと決断した平山。

 

だがそんな彼に事件が起こる。

ガソリンが切れ。タカシの勢いに負けて普段いかないところまで移動したせいで予想外に燃料は減っていたのだ。

平山は財布を確認するが、そこにはお金が入っていない。

平山はため息をつくと、車を路肩に止めて、一人道を歩き始める。

 

不思議なことに映画はここで次の日に移り変わるのでこの後の展開は不明だ。

家まで歩いてお金を取りに行ったのか?はたまたカセットテープを売る羽目になったのか?

これで映画の印象は大きく変わると思うのだが、憎いことにここの描写がない。ご想像にお任せしますって感じになっている。まじで気になって仕方ない。誰かこの結末がわかった奴は教えてくれ。

 

 

こうしてタカシという目先のことにとらわれ今に不満を抱える極端な人間と並べることで、

平山の今に満足し変化を望まない特徴が印象的に浮かび上がってくる。

 

見ているお前はどっちなんだ?と尋ねられている気がしてならない。

どちらも極端な人間だった。だから笑ってバカみたいなことやってるなと済ますこともできる。

だがもし自分ならどうだろうかと考えてみると厄介な問題をはらんでる気がしてならない。

 

書きすぎた。

もう一人の姪ニコについてはまた後日。

 

俺が満足するまでしばらくこのネタで書くつもりだ。

それぐらい魅力的で、その上で消化不良なんだよなこの映画。