~友樹side~
デュークモンを引き離したキラさんのアポロモン…………ブレイズ(確かこんな名前だった筈……)がデュークモンの槍の突きを回避して僕達の隣(アルフォースブイドラモンが拓也お兄ちゃんと一緒に連れてきてくれたんだよ)に移動した…………
「ふん……私を引き離した所でなんになる? 悪いが、さっさと決めてオメガモン様のもとへ参らなくては…………」
「……悪いけど、それは叶わないよ。僕らが君を倒すから」
デュークモンがオメガモンのいる方向(僕達の後ろの方)を見ながら言ってると、キラさんのヴァイクモン……イッカクがハンマーを握り締めながら言った……
「そうだな……俺達が頼まれたのは全員同じロイヤルナイツを一体倒す……だしな…………俺達は頼られたんなら…………それに応えるだけだ!」
「うん! ぼくらはキラの期待を受けてるから…………負けれないんだ!!」
「そう、だよね! 頑張らないと!」
拓也お兄ちゃんとブレイズの気合いのある言葉に僕も思わずグッと両手を握ってデュークモンを睨む。
「……なら、貴様らをスキャンしてからオメガモン様の元へ向かうとしよう…………」
「そんなことさせないぞ! 行くぞ、友樹!!」
「うん! 拓也お兄ちゃん!!」
拓也お兄ちゃんの言葉にそう返すと、僕達は左手にデジコードを浮かばせてそのまま読み取った。
「ダブルスピリット・エボリューション!!」
「スピリット・エボリューション!!」
「アルダモン!」
「ブリザーモン!」
「ハアアッ!」
最初に仕掛けてきたのはデュークモン。持っている槍を使ってこっちに向かってくる……ターゲットは…………僕!
「アヴァランチ・ステップ!!」
攻撃を見切るのはそれほど難しくなかったから、手に持ってる斧で槍を防ぐ……けど、力の強い相手に押しきられ…………
「させないよ。フォイボス・ブロウ!」
……る前にブレイズの技がデュークモンを襲い、それを跳躍でかわしたからお陰で助かった……
「っ……やるな」
「ありがとう、ブレイズ!」
「気にしないで……でも、アイツ本気出してるのかな?」
「え?」
「何?」
ブレイズにお礼を言うと、首を振ってはデュークモンを睨みつつ呟く……それに思わず、僕と拓也お兄ちゃんが反応してしまう…………どういう……事なの?
…………でも、この時の僕達はまだ何も知らなかった……この相対しているデュークモン…………いや、この戦いで戦っているロイヤルナイツ5人……デュークモン・デュナスモン・アルファモン・マグナモンの本気を……そして、オメガモンの本当の恐ろしさを…………
side友樹→輝一
「はあっ!」
「むぅん!!」
…………今、デュナスモンとキラさんのデュナスモン……エアが空中での接近戦をしている…………エアとデュナスモンは互いに拳を交え、力はかなり拮抗している……ちなみに俺達は既にスピリットエボリューションをしている状態だ。ちなみに、エアは偶然かどうかは分からないけど……首に赤いスカーフが巻かれてある…………
「ハアッ!」
「っ!……ハッ!」
デュナスモンがオーラを纏わせた一撃を放つと、エアもそれに気付いて近くの樹木を利用して回避したけど……
ズドゴォォォォン!!
爆音と共に2m程の大きなクレーターがデュナスモンの拳を中心に出来上がっていた…………勿論、デジコードが出ている……けど、デュナスモンはそれをあの時みたいにロードしなかった。
「……流石は力の強いデュナスモンだね。侮れないや…………」
「大丈夫か?」
純平が近くに降り立ったエアに声を掛ける……
「うん、平気だよ……でも、少し変な感じがするんだよね…………なんだか、力を出しきれてない……って感じ?」
「確かに、それはワテも感じとるわ……本来ならあんなもんやないはずや…………この世界のデュナスモンならな……」
「何だって……!?」
「……どういう…………意味なんだい?」
俺達は思わず聞き返してしまった……一体、何でそう思ったのか…………
しかし、この疑問の答えはスグに分かった…………
sideout
「はあっ!」
「いけぇっ!」
「はああっ!」
「ふぅんっ!」
「…………」
一方……メルキューレモン、ラーナモン、ロードナイトモン、そしてルーチェモンFM(フォールダウンモード)は、全員で息を合わせアルファモンを攻撃していた…………が、アルファモンはそれをただひたすらに避けるしかしなかった……
「なによっ! 逃げてばかりじゃなくって早く戦いなさいよ!!」
「……ホント、ヘドが出るくらい攻撃してこないですね…………」
「……ルーチェモン様、どう思われますか?」
「…………コイツの真の実力はあの剣を解放したとき……それまでに決着をつけたいけど…………コイツの素早さは本当に速いね……怒りたくもなるよ、こりゃ」
中々攻撃を仕掛けてこないアルファモンに怒りを露にしているラーナモンとロードナイトモン……メルキューレモンは、その敵の行動に疑問を抱きルーチェモンに尋ねると、ルーチェモンもまた、攻撃を仕掛けてこないアルファモンに対し、少し怒りの感情を持っている様子で答えた……
だが、彼等は知るよしもなかった…………このアルファモンがとてつもない実力の持ち主であることを……そして、オメガモンがロイヤルナイツらに施すものの力を…………
side泉
「はあああっ!」
「…………」
「そこだっ! ゲイルクロー!!」
「っ…………」
今、ダブルスピリット・エボリューションしている輝二とキラさんのミラージュガオガモン(……確か、名前はガオンだったかしらね。)がマグナモンに向けて攻撃を放っている……でも、俊足のマグナモンはそれを少し顔を曇らせながらもかわし続けている…………
「速いわね……でも、流石に2体相手では少し厳しいようだけど」
「…………いえ、あのマグナモンの速さはこんなものじゃないはずよ……成熟期クラスで唯一のロイヤルナイツ入りを果たしたその強さがまだ見えてない…………」
私がマグナモンの速さに対して呟いていたら、隣にいたロゼモン……ララが首を振ってマグナモンをにらみ続けている…………何でそんなことが分かるのか……
そう、思っていた私だったけど、次の瞬間にその考えは見事に吹き飛んだ…………
side泉→キラ
「はあっ!」
「ふぅんっ!」
この場所には俺とオメガモンが互いの剣を合わせる音しか聴こえない…………そして戦闘は、と言うと……
「フッ……まだ甘いっ!」
「っく…………!」
俺が少し劣勢に立たされている。正直、敵の攻撃の一撃一撃がとても重いから相手の攻撃を受け流す事で精一杯なのだ……
「ハァッ……ハァッ……やっぱまだまだ慣れないと厳しいかな。でも、少しずつどう動けばいいか分かってきた…………ここからっ……はあっ!」
まぁ、言い訳しちゃってるが……これもまた、事実。俺は右足で踏ん張ってグレイソードをなぎ払うと、即座に敵に対し突きを入れる。これには流石にオメガモンも意図してなかったようで、無事に攻撃が通る……!
「っ……少しはやるようだな…………」
「俺だって……ただやられるだけじゃねぇんだよっ!! ……それより、聞きたい事がある…………!」
相手に問い掛けつつ俺は更に攻撃を仕掛ける。
「…………」
オメガモンは無言……俺はそのまま質問と攻撃を続けた。
「何故、またこの世界を襲った!」
「……答えなくてはならぬかな?」
相手の返しの一閃……避けるのは間に合いそうにないから剣で防ぐ…………やはりまだ重いな。敵の一撃は……
「当然!」
そうじゃねぇと、此方としても後味悪いからな。せっかく聞きたいことあるっていったのに聞けずじまいだなんてな。
「…………」
「……っち、黙秘かよ」
「…………そんなに聞きたいのか」
…………?
「……あぁ、聞きたいね」
「そうか…………なら、我等を倒してからにするんだな!!」
そういい放ったかと思うと、オメガモンの体から光の珠が4つ現れて、それぞれ別の方向に…………ってあれらの向かった方向って……アイツらのいる…………
「フフフ……我等の…………否、我がイグドラシル様から受け継いだ力を見るがよい…………」
すると、突如として光の飛んで行った四方から爆発音が幾つも飛び交った……!?
「お前……何をした…………!?」
ガキィィィン!
敵に攻撃を仕掛けるも、グレイソードに阻まれる…………俺は力押しで更に敵を押す……
「答えろ!!」
「フフフフフ……」
そして、このオメガモンの不敵な笑みで、背筋に悪寒が走った…………
皆、大丈夫……だよな…………?