おとといの夜は、NHK総合チャンネルが隔週で放送している、「映像の世紀・バタフライエフェクト」を観ましたよ。

起きた出来事に、というより人物にスポットを当てる回だったので、ちょっと関口宏の「知ってるつもり?!」を観る感じがしました(いらん感想だが懐かしい)。

ビリー・ホリデイ。
アメリカの黒人女性ジャズシンガーですね。
税別980円とかのジャズベストアルバムに必ず入ってると言っても過言ではないぐらい有名ですよね。
『奇妙な果実』という歌で世界的にとても有名な方です。

果実と言っても、山口百恵『青い果実』とか、ゴールデンハーフの『黄色いサクランボ』とか、ムーンライダーズの『マスカット ココナッツ バナナ メロン』などとは根本的に違う果物についての歌なのでお気をつけ下さい。最大MPが上昇したりもしません(ふしぎなきのみ)。

この歌がリリースされたのは、1939年ということだから、笠置シヅ子の『ラッパと娘』と同じころ。
でもあの頃の日本にとってのジャズはアメリカから入ってきたばかりの新しい流行音楽。
楽しいお方も悲しいお方も楽しめる音楽でした。

その20年以上まえからジャズはアメリカで市民権を得ており、黒人も白人も聴いていたようです。そして、ビリー・ホリデイが登場しメッセージ性を持たせたジャズソング『奇妙な果実』が誕生しました。

生い立ちにも色々あって、ジャズシンガーになってからも人種差別に苦しみ、戦いながら名声を得たビリー・ホリデイは薬物に手を出すようになり、1947年、ついには逮捕されます。

1947年は昭和22年。笠置シヅ子が戦中戦後の紆余曲折を乗り越え『東京ブギウギ』を歌った年です。

ビリー・ホリデイが表舞台から去ったあと、彼女が『奇妙な果実』で訴えたこと、世の中の不公平を歌で伝えてゆく行動を引き受けたのは、
〝アメリカの岡林信康〟こと、
ボブ・ディランでした(逆、逆、)

私はボブディランについてほとんど知らず、
ちゃんと知っている曲も5曲に満たないと思います。
だからこの、エメット・ティルという人物の事を歌った歌は余計に知りませんでした。

白人の「黒人から日常生活を守る」っていう一方的な正義感から14歳のエメット・ティルが惨殺されて
その惨殺した白人側が無罪となった事件を、ボブディランは歌ったとの事でした。

岡林も凄いが、ボブディランも中々やるな(だから逆、逆)
そして、ボブディランの行動に触発され、
ワンダフル・ワールド』で有名な 黒人R&B歌手サム・クックも、人種差別と戦う姿勢を見せます。

彼の「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」という曲に込められた魂は、うん十年後のオバマ政権を誕生させます
こうして、ビリーホリデイが『不思議な果実』で託したバトンが時を超えてアメリカ全土を動かした事を学んだあと、

チャンネルをTBS系にかえたら
インドネシアの幻の果物、
ハゲドリアンを探していました。

「奇妙な果実」からの「幻の果物」へのバトン。

まさに、すとれんじふる一つな夜でした。

人種差別反対!