日経ビジネスExpressダイジェストというメールマガジンの村上富美氏のコラム「サービス考現学」にこんなエピソードが書かれてあった。

地方のホテルの30代のパートタイマー女性が、ビジネス客が多く、夏場が閑になるので子供向けのイベントを開いたらどうかと上司に提案したところ、「パートはパートの仕事をしていろ」と叱られたという。なんという上司だろう。その時点で私ならやる気を失う。彼女のえらいところはその後、上司が代わり、様々な提案
をし続けた点。そして人事部長から「正社員にならないか」と誘われたという。このエピソードに関連する男性と女性からの反応は対照的だったとある。

ある男性読者は、「一部の男勝りの女性が働くのは構わないが、メディアは、控えめで夫を支える資質を持った女性の未来を惑わすべきではない」という、何とも前時代的なメール。一方、就職活動中の女子大生からは、企業の人事担当者に「女性は家庭を持つと仕事が中途半端になる。女性には家庭を優先してほしい。だから当社では、男性と女性を区別する。女性は結婚したら辞めてもらう」と言われて驚いたというメール。何をかいわんや。

村上氏も「正直言って、私も驚いた。20年近く前に私が就職した頃の状況と、あまり変わっていないのかとも思えてしまった。(中略)女子大生に『生き方』を押しつけるような会社は、そろそろ変わってもいいのではないかと思った。女性の地位向上、云々ではなく、会社自身の効率向上のために、だ」と書いている。

以前、米軍横田基地に配属された兵士に聞いた話だが、仕事の手順などでいいアイデアがあったらどしどし提案するよう奨励しているそうだ。もしそれが採用されるとちょっとしたボーナスが出るそうだ。実にプラクティカルで私は100%賛成である。ディベート、対話を積極的に行なう、男女の格差を無くして女性の視点を取り入れる、ほめて伸ばすなど、働く者をエンカレッジするアメリカ、ディスカレッジする日本、そういう図式が見えてくる。

付け加えると、横田基地で提案を出すのは男でも女でも構わないのは言うまでもない。