最近よく「うつ」がメディアで取り上げられる。新聞報道でSEの長時間労働や過労死、自殺について読んだり、TV番組を見かけたりするが、身近に該当する人がいなかったので今までは「人事」だった。ところが、あるご夫婦と知り合って彼らの話を聞くと、彼らこそまさしく企業のうつ病最前線 にいた人だったのだ。
 
彼は40代後半の元SE。25年間一部上場企業に勤め、3年前に退職。うつ病を発症し、自殺未遂を3回、集中治療室で生死をさまよった後の退職だった。その後2年以上は働く意欲が全く湧かず、専門医の治療を受けながら妻と月の半分を知らない土地を旅して過ごす生活で、2千万円ぐらい使ったという。彼はそれについては後悔はなく、普通の社会人には出来ない貴重な時間を過ごしたと語る。
 
 現在の彼の穏やかな振る舞い、表情からは想像もつかないが、すぐ切れる、暴れる、車の事故を起こす、酒と薬で自分を見失い、行動も言動も覚えていないという状況で、奥さんも彼と同じかそれ以上に大変だったのは想像に難くない。救急車を呼んで入院、警察にも何度か呼び出され、最後は覚悟が出来て怖いものなしになったと言う。


こういう生活に陥る会社勤めとはどのようなものか私には全く想像がつかない。


彼女の言葉を借りれば、「ストレス社会で、うつにならない方が不思議」という。うつであるという事は幸せではないという事で、最近あちらこちらで今までにないような事件が頻発している。もしかしてそれらはストレス社会の中に生きる人間が発する信号なのではないだろうか。
 
東京で、電車の中でも道を歩いていても他人の迷惑も顧みずに傍若無人の振る舞いをする人々、ギスギスした態度で他人にイヤな思いをさせる人々が多い昨今、うつ対策をどうにかしないとこうした状況はさらに悪化し、日本社会が壊れ始めるのではないかと危惧する。

脱線事故を起こしたJR西日本の社員も大変なストレスを受けていたという事だ。ぜひ会社内のストレス・マネジメントを徹底的に行って欲しいと思う。


追記

日本人の自殺者数は過去5年連続で3万人を超えた。うち、7割が男性。自殺にうつが関係しているのはつとに知られていることだ。


関連サイト

「心のさわやかセンター」 http://www.kokoro-sawayaka.com/

「こころのくすり箱」 http://utus.jp/index.html

「うつ病の予防・治療委員会」 http://www.jcptd.jp/index.heml

「うつ・不安啓発委員会」 http://utu-net.com/index.html

「UTS-WEB-CLINIC」 http://uwc.s54.xrea.com/index.html