日経新聞は「生活 ファミリー」で少子化の理由の1つが結婚の減少にあるとして、都市部を中心に結婚動向の要である30代男女の未婚率が右肩上がりに上がっている事実を挙げ、男女両方の置かれている状況を伝えていた。

30代男性に関しては、転職、起業、本業の他にもアルバイト、人員削減による長時間労働などが結婚、育児から遠ざけている。一方、年収700万の女性は「結婚はしてもしなくても地獄」という。彼女は既婚の友人から夫の無理解、育児の困難さへの不満を聞かされると自分の結婚願望との折り合いがつけられずに落ち込む。

結婚しなければこの先暮らして行けないのではと不安を募らせる34才の派遣社員女性もいる。彼女達にとっては結婚も子供も非現実的な夢なのだ。35才以上の女性の7割が子供をほしいと思わないとの調査結果があるが、39才の金融機関勤務女性も、結婚はともかく子供は無理かなと思い始めたとある。

明治大学の人口学の安蔵教授は「男性は年齢が上がるほど伝統的な女性を求め、反対に女性は伝統的な性的役割分担を否定する傾向が高まる」事により、20代後半から男女の考えがどんどん乖離(かいり)してゆくという。これは本コラムのパート2でもお伝えした下方婚、上方婚志向と一致する。「企業は30代の長時間労働を見直すべきだ。(今のままだと結婚や育児など)大変なだけと思うだろうし、恋の余裕もない」と教授は指摘しているが、主要企業2781社に対して行われた調査では託児施設 などの支援策を導入しないのは運用コストがかかるから。何と貧しい心根だろうか。

同コラムではまた「わいふ」編集長の田中貴美子さんは日本女性がどうしてこれほど子供を産みたがらないのかについてユニークな意見を述べている。企業や行政のサポートの低さ、仕事と家庭の両立の難しさなど構造的な問題と同時に、欧米諸国に比べて日本の母親は子供と密着し過ぎ、育児がしんどいというのだ。母親は添い寝、抱っこ、沿い乳、だらだら授乳など、絶え間なく密着する。こうした過剰に手をかけられた赤ちゃんは駄々ッ児を作っているというからその子がどういう成人になるかは推して知るべし。対策として泣かれても育児ルールは崩さない、むやみに抱っこしないなどゼロ歳での甘やかしをなくすと子育てはぐっと楽になるそうだ。

埼玉県朝霞市では月額最高4万7千円の保育補助金支給、夜間の学童保育など「子育てしやすい街」との噂を聞いて越してくる人もいて、市の1998年から2002年の出生率は平均1.45と、都心周辺部では高いというデータもある。日本女性はもっと行政に要求を突きつけるべきだと思う。そして男性パートナーにも育児、家事に参加させる努力をすべきである。欲しい物を手にする為には努力が必要なのだ。

出産したくない症候群の女性達を富士通総研の渥美氏は「出産ストライキ」と言っていたが、ストライキどころではない、これは女性の静かな反乱である。