「この間ね、学校から帰ってくる途中でね、緑を見たの。緑って、あのう、普通の・・・」
「草?」
「うん、何でもない草。その辺に生えてるやつ。じっと見てたの。」
「今までちゃんと見たことなかったんだ?」
「そう。ちゃんと見てみたの。そしたら・・・」
「そしたら?どう思った?」
「・・・リアルだなぁって」
「それは何?リアルって、現実だなってこと?本物だなってこと?」
「両方。生きているなぁって感じ」
「ああ、今を?今を生きているって感じか」
「そう」
「一本の草だけど、リアルに生きてるなぁって思ったんだ?」
「そうなの」
僕はオソレイリマシタと居住いを正したくなった。
そしてちょっと気の利いたお説教をするつもりで、
逆に子供たちに教えられた自分が少々恥かしく、
また嬉しくも感じた。
(原田宗典「今を生きるということ」より)
