ごあいさつ
ヒナギク先生の話を聞くと、
なんとなくお母さんが
辞めろと言ってしまう意味も
わかってしまいました。
保育園の方針とかって
本当に合う合わないが
あるので、合わない保育園に
居続けるというのは
本当に大変だと思います。
周りもだけど、本人も。
「正直親って言うのは
子どもの性格わかってて
言ってくるから、私は
ヒナギク先生のお母さんが
反対する理由もなんとなく
わかっちゃうのね？
系列園はともかくとして
うちの園は障害児さんを
積極的に支援している
園だし、ヒナギク先生は
その点については受け入れ
られてないよね？
そういう保育観が合わない
園で働くというのは、
ヒナギク先生が思っている
よりもずっと、周りも
ヒナギク先生自身も
大変な思いをすることに
なるし、多分メンタル
病むんだよね。
それでもヒナギク先生は
うちの園で働きたい？
でもそうなると今ある
障害児さんについての
価値観を180℃転換
しないといけないけど、
それはできる？」
私の言葉にヒナギク先生は
鼻をすすりながら、
うつむいていました。
そこに店員さん再び、
スフレパンケーキを
出してくれながらも
その目は興味津々(￣▽￣;)
ヒナギク先生も少し
考えている風な様子だった
ので、私は一人でケーキを
頬張っていました。
ヒナギク先生
「……私……。」
「うん。」
ヒナギク先生
「保育園……辞めたく
ないんです……。
本音を言うと今凄く
逃げたい気持ちで
いっぱいなんですけど、
でも系列園と違って、
ぽい先生もダリア先生も
優しい先生なのちゃんと
わかっているんです。
ダリア先生はすぐ怒るけど、
意地悪されたことは
一回もなかったです。
他の先生もみんな怒って
私に何か言ってくるけど、
でもちゃんと教えて
くれました。怒りながら
私の話も聞いてくれて、
アドバイスとかも
くれてたんです。」
ダリア先生は気が短い
人ではあるけど、基本的に
面倒見の良い先生。
その点ちゃんと伝わって
いたのは嬉しかった。
「でもそうなるとさ、
やっぱり今のままの
障害児さんに対しての
価値観だとダメだよね。
その辺どう考えてる？」
私の言葉に再び黙り込む
ヒナギク先生は、おろおろと
視線を泳がせながらも
必死に考えているようでした。
問い詰めるのもあれだしと
思って、しばらく様子を
見ながら私はケーキを
完食しました。
ヒナギク先生
「私……Aくんのこと
避けてるつもりは
本当になかったんです。
嘘吐いていると思われる
かもしれないんですけど、
本当に無意識と言うか
何て言うか……」
「まぁその辺はもう
良いと思うよ。
ごめんだけど事実として
Aくんを避けていたんだし、
悪質性は変わって来ると
思うけど、故意か無意識かは
この際置いておこう。」
ヒナギク先生
「はい……。でも、
先生達にそうやって
言われたら、Aくんのこと
見てなかったなと
思いました。保育士が
子ども見れていないって
ダメなんですよね。
初日の日にもそれで
注意されたから、全体を
見られるようにって思って
気を配ってたんですけど、
できてなかったです。
えっと、できてなかった
って言い方は正しくなくて
無視したとかではないん
ですけど、ちゃんと
見てなくて？いや、
えっと、無視とかでは
するつもりじゃなかった
けど、視界に入らなくて？
入れられなくて？
えっと
」
」自分でもどう伝えたら
いいのかわからないのか、
ヒナギク先生は
言葉を出しては何度も
言い直してというのを
繰り返していました。
その様子に彼女なりに
思っていることを
伝えようとしている
気持ちは伝わりました。
が、言えばいう程に
全然伝わらないし、
そうじゃない感は
拭えなかった。
言葉で伝えるって
難しいよね。
