ごあいさつ
働き始めてしばらく経った
ある日、真顔真剣な園長から
呼び出されて応接室に出向くと、
一転してにっこにこの園長に
地元の銘菓を出されました。
どうぞどうぞと食べることを
勧められ、就業時間中なのにと
困惑しつつもお菓子をいただき
ながら話を聞きました。
園長
「ぽい先生、以前他の
先生達と雑談してる時に
ブログとかしてるって
言ってたじゃない？
前職もグッズ販売で
オンラインショップとか
やってたって聞いたけど、
そういうの得意なの
かしら？」
「えっと……まぁ、
得意というわけでは
ありませんが、それなりに
パソコン触ったりとかは
できると思います。」
園長
「まぁそうなの！
それは凄いわねぇ！」
大袈裟に驚く園長の目は
キラキラと輝いていて嬉しそう。
その姿になんとなく、
嫌な予感がしました。
園長
「実はね！ちょっと前に
園の登園システムの
変更の話が出てたでしょ？
あれでちょっと相談を
したくってね～！」
にっこにこの園長が
持ち出してきたのは、
新しく導入予定のシステムの
話でした。
というのも、当時使っていた
登園管理のシステムは
本当に登降園を記録するだけの
簡単なものだったんですよね。
でもオンライン化が進む
この時勢で、保護者からは
欠席連絡や配布される書類、
保育士やその他職員からは
管理しなければならない
書類などのデジタル化が
要望に上がっていました。
それを私が入職してしばらくの
全体会議の時に話が持ち上がって
いて、それについて業者に
見積もりを取っているとの
報告があったんですよ。
うちの子達の通っていた
小学校や保育園でもデジタル化で
システム変更してたりとか
あったので、そういうのが
取り入れられるようになって
ハイテクだな～なんて
思いながら聞いていたのを
思い出しました。
「相談って言うのは
システムについて
でしょうか？」
そう聞くとにっこにこの
園長が持ってきたのは、
A4サイズの封筒に入れられた
資料……が、５セット(￣▽￣;)
園長
「これね！事務長と
読んでみたけど私達
まっっっっっったく
わからないの！」
ずずいと押し出されてきた
資料の封筒を受け取り
中を見ると、それぞれの業者が
出してきた資料と見積書が
入っていました。
園長
「ぽい先生、読み
比べてもらえない？
そして事務長に説明を
して欲しいのよ！」
どうやらだいぶ前に聞いた
見積もりを取っていると
いうのは、本当に見積もりを
取っただけだったようで、
おばあちゃんに近い園長と
おじいちゃんに近い事務長じゃ
最先端のシステムとそれに
伴う利便性やシステムの違い
などはちんぷんかんぷん
だったようでした。
だから放置してたんだな。
見積書の日付が
3ヶ月以上前だった(￣▽￣;)
