人生初の検査第4弾。
別部屋に通されると
看護師さん2人が準備をはじめた。
私は上半身裸になり、ベッドに横になった。
ほどなくして先生入室。
「今から針生検をします。
局所麻酔を打ってから少しだけ切開をして
太い針を刺します。
エコーで確認しながら、
怪しいかなと思う部分の組織を取って調べる検査です。
組織をとるときにバチーン!って大きな音がするけど
ビックリして動かないでくださいね。」
そう言って先生は
実際にその音を聞かせてくれた。
確かにバチーンと大きな音。
…
……怖っ
なんだか、だんだん怖くなってきた。
局所麻酔…痛い?
切開…血いっぱい出る?
バチーンの時は痛い?!
モヤモヤ。。。
昔から注射が苦手で
刺される瞬間は
ガン見して覚悟を決めていたけど
最近は歳のせいかさらに臆病になってきて
刺される瞬間のガン見が出来なくなった。
目をギュッと瞑って
ひたすら終わりを待つか
針とは全然違う所を見てやり過ごす。
だから針生検も、ひたすら
エコーで写し出された画面をガン見して
針や道具を極力見ないようにした。
局所麻酔のときは
チクリとした程度の痛みだったけれど
針をググ〜っと奥に入れたときの痛みといったら!!
ヒィ〜〜!
せ…先生…麻酔、効いてません!!
言おうかどうかためらっているうちに
針が黒っぽいモヤモヤに到着。
バチーンの瞬間はそこまで痛くなかった。
胸から針が抜かれ
やっと終わったとホットした瞬間。
先生から地獄の一言。
「これを
あと3回くらいやるからね。
頑張ってね!」
うそーーーーーん!!!
先生…それ聞いてません!
あと3回だと?!
そんな大事なこと
せめて麻酔する前に言って
血の気が引いた。
無理無理無理…
「せ…先生!あと3回もやるんですか?」
思わず心の声が出てしまった。
「ごめんね。サンプルは多い方が確定診断つきやすくなるからね。」
「ぐっ……!!」
心の声が洩れるのを止められない。
先生曰く
局所麻酔をしているから
表面の痛みはないだろうけど、
しこりのある奥の方までは
麻酔が届かない場合があるから、
どうしても多少の痛みは仕方がない
とのことだった。
多少の痛みじゃないけどね!!
とはいえ数度のバチーンになんとか耐え
無事に針生検終了。
出血を抑えるために
看護師さんが患部にガーゼをあてて
ギューッと圧迫してくれた。
そして先生は看護師さんに
「5分間圧迫お願いします」
と声をかけた。
その後看護師さんは終始無言。
この状況で
無言で5分。
…あたし、耐えられるだろうか…
………
…無理!!
2分くらい経過したところで
沈黙に耐えられなくなった私から声をかけた。
「あの…例えば今回の診断結果が、
良性だったりグレーだったりした場合
また針生検をやりなおししたりするんですか?」
じつのところ
これがすごく気になっていた。
まず、先生がしこりと認識していなかった箇所を
その先生がエコー下とはいえ
きちんとヒットさせて組織が取れているのか?!
という不安。←失礼
私が見聞きして
認識していた乳ガンの
黒っぽい丸っぽいというしこりが
私の胸には見当たらない。
なんとなく
モヤ〜とベタ〜っと
黒っぽい箇所があるくらいの場所に
先生は針を刺していたから
はたしてそれが怪しい箇所で間違いないのか?
という不安がずっとあった。
先生!そこであってます?!
先生が脂肪の塊だと言ってた場所ですか?!
大丈夫ですか?!
↑頭の中でずっと先生に呼びかけていた。
(さすがに声に出して実際に聞いたりはしていない)
だってもしも
無意味な部分の組織を取っていたら
黒も白になってしまう。
結果が癌じゃなくても不安になるかも…。
正直、私は先生のことを
あまり信頼していなかった。
看護師さんは
「針生検のやり直しはしませんよ。
もし結果が良性やグレーだったとしても
マヨさんの場合
手術にはなると思います。
全摘になるかどうかは
次回の診察で説明あると思いますよ。」
予想の斜め上からの
なかなかの爆弾発言を
サラリと言ってのけた。
「え?!良性でも手術は確定?!
ぜ…全摘かも?!」
そりゃテンパリもしますって。
短い会話に情報量多すぎるし。
そもそも
看護師さんって
そこまで話して大丈夫なの?
「次回はっきりしますよ。
詳しくは先生にきいてくださいね」
検査結果は2週間後と言われ
あまりの長さに愕然とした。
なんであれ、早く結果が知りたかった。
診察が終わり
小走りで駐車場に向かう。
車に乗り込むと、
震える手で旦那に電話をした。
「もしもし?」
「あのさ、MRIの検査結果なんだけど…
ごめんね、なんか
乳ガンの疑いがあるって言われちゃった…」
「………えっ!!!?」
しばしの沈黙。
「え?だって、
この前の細胞診で大丈夫だったんじゃないの?
そんな数週間で癌になるなんてことある?」
「…わからないけど…。
細胞診はあくまで分泌液の細胞診だったから…。
今日は直接組織を取ってもらって、
その結果が確定診断になるらしい。
結果は2週間後だって。」
「……そうか……わかった。」
家に帰る車の中で
子どもたちの事を思い浮かべて
涙がこぼれおちた。
ここから長い2週間を過ごすことになった。