ぽーおばちゃんのヒーロー | いつも感謝で

いつも感謝で

アトランタ在住のうぃどう、ぽーの日記

 

 

 

世界中が私の敵となっても、

彼だけは私の味方であると

確信できる人がほしい。

どんな事があっても助けに来てくれる、

安心でき頼れる人がほしい。

 

家族以外にそんな人がいると、

こんな世の中に生きていても

寂しい思いをする事もなく、

本当に幸せなのではないかと思う。

 

でもなかなかそんな相手を

見つけることは容易くない。

特に私みたいに我儘で、

相手を振り回す人間と、

長続きするわけがない。

 

しかし私は数日前に、

そんな人に出会ったかもと

感じた事件があったのだ。

そしてそれはR。

 

 

私はテニスの試合中に怪我をし、

病院へ行かなければならなかった。

子ども達は国外と他州にいる。

家族は日本と他州だし、

近くに頼れる人が誰もいない。

 

土曜日の午後8時に、

救急病院へ連れて行ってくれる

知り合いを探すことは、

異国にいる私にとって難しい。

 

そこで私の脳中に上がったのは、

知っている男達であった。

時間が空いていたら

来てくれそうな人は5、6人。

 

わざわざ迎えに来てくれ、

どれくらい長くかかるか

わからない長時間を、

一緒に待ってくれる人。

 

そして気兼ねなく、

心から安心できるのは

その内のたった二人。

最初に電話したのはR。

 

もう長い間会っていない。

私からは何も連絡をしていない。

それでも来てくれるという

思いが心の中にあった。

 

すぐに電話に出てきた彼。

やはり機嫌が悪そうだった。

しかし仕事中だとわかり、

私から頼むのを断る。

 

そして頭が朦朧としながら、

もう一人に電話をした。

その男は電話に出なかったので、

諦めもう一度Rに電話した。

 

「迎えに行くから待ってろ。」

ぶっきら棒な言い方で、

Rは電話を切った。

なかなか酷い怪我だったから、

待っている時間は長かった。

 

Rから建物の入り口に来たと、

30分後に電話が入った。

知り合いに支えられながら、

よたよたと入り口に向かって歩いた。

 

そうすると大きなドアが開いた。

そこに不機嫌そうに立っていたR。

 

長い辛い待ち時間だったからか、

頭が朦朧としていたからか、

気持ち的に弱っていたからか、

どうしてだかわからない。

 

久しぶりに見たRは、

今まで見た彼の中で、

一番素敵に見えたのだ。

 

仕事を切り上げて来たから、

普段着でお洒落な服装ではない。

それでもいつもより一段と

ハンサムで大きく逞しく見えた。

 

彼は私を自分の車に乗せ、

救急病院へ向かった。

道中も二人の間には、

会話は殆んどない。

 

受け付けを済ませて、

二人で待合室の椅子に

腰掛けて呼ばれるのを待った。

それでも会話はなかった。

 

私は彼の横顔を見つめ、

「ハグしていい?」と聞く。

彼は私をちらっと横目で見て、

怠そうに一つ返事。

 

怪我で口を殆ど開けないから、

私は感謝の気持ちを込めて、

彼を長い間思いっきり

抱きしめたのだった。

 

そうすると氷が溶けていくように、

彼の顔にゆっくり笑みが浮かぶ。

「お前、下手なんだから、

もうテニスをするなよ。」と

冗談混じりで話してきた。

 

しかしもともと二人の間には、

たくさんの会話があるわけでない。

私は彼の肩にもたれかけ、

治療室へ呼ばれるのを待つ。

 

怪我をしたところを

縫わなければならくなった時、

私は徐々に怖くなり、

彼の指を思い切り握った。

 

彼は私を情けなさそうに、

笑顔でずっと見つめていた。

全て終わったのは午前1時過ぎ。

4時間も病院にいたのだった。

 

それから数時間後、

彼は私の車のある所へ戻り、

私を下ろし出勤に1時間遅刻して、

職場へ向かったのだ。

 

 

また以前のように、

私達は話し始めた。

でも全く同じではない。

今回の別れは二人の間に

少し隙間を作ったようだ。

 

それでも何かしら

今までと違った空気が、

良い感じで流れている。

 

彼は私の彼氏というより、

私のヒーローとなった。

そしてもし彼に何かあったら、

私も絶対に助けるだろうと

思ったりしたのだ。

 

 

Rとこのまま付き合い続けるかは、

まだはっきりとさせていない。

でもRは私の大切な人になった事は、

間違いないのである。

 

身勝手で我儘で気まぐれな、

ぽーおばちゃんなのであった。