ワイシャツ | いつも感謝で

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アトランタ在住のうぃどう、ぽーの日記





学校で表彰式のパーティがあるため、
息子のワイシャツにアイロンを掛けた。

アイロンを掛けながら、
夫のことをふと思い出す。
毎日のように夫のワイシャツに
アイロンを掛けていたことがあったな・・・。

今では夫と同じサイズになってしまった、
息子のワイシャツ。

夫よ、
あなたの息子はこんなに大きくなったよ。




パーティはホテルで行われた。
表彰式はマグネットクラスの生徒だけのもの。
だから全校合わせても百数十人しか集まらない。
私もホテルでのディナーだから、
久々のおしゃれをしたりして。
やっぱりちょっとはステキな母でいたいしね。
(自分でそう思ってるだけなんだけど。^^;)

到着すると、
既に丸テーブルには前菜が並べられ、
何人かは座っていた。
隣に座った女性は、
誰かの母親だと思ったら、
息子と同い年だったことに驚く。

大きなスクリーンには、
生徒たちの写真が次々と写し出され、
写真の中の息子を発見すると、
「ああ、良い高校生活を送っていたんだな。」
としみじみ思う。

食事が運び込まれ、
メインを食べ終えた頃、
表彰式は始まった。

表彰されるのは、
圧倒的に女子生徒の方が多い。
アメリカ国内では女性の数の方が多いが、
理由はそれだけではないだろう。
私の職場でもそうだが、
どちらかと言うと女の子の方が真面目に勉強をする。

一層拍手が多かったのは、
The Gates Millennium Scholarsという奨学金を受け取った、
ケンタの友達ト二―が呼ばれた時。
この奨学金はかの有名なビル・ゲイツが出していて、
どこの大学だろうと全て必要なお金を出してもらえる。
ケンタもノミネートされたものの、
残念ながら落選してしまった。

後でケンタに、
「トニーとあなたの違いは何?」と聞くと、
「彼は努力家だから。」
「そりゃぁ、彼が選ばれて当然ね。」
我が息子に「努力」という言葉は存在しないんじゃないかと、
母は彼が小学校に入学して以来、
ず~っと思っていることなんだよね。

何とそれでもケンタは賞を貰った。
その賞に受かった生徒の名前を呼ぶために、
ステージに上がった初老の先生は、
自分の老眼鏡を忘れてしまい、
名前をすべて読み上げることができない。

ケンタのファーストネームを読めなかったのだろ。
彼女は彼をラストネームだけで呼んだ。
そうすると、
そこにいる大勢の生徒達は声を合わせて、
「ケ~~ン~~タ~~~。」と呼ぶ。

母は何だか、
非常に我が息子が誇らしく、
皆と仲良くしていた事を確認できた。

その賞とはマグネットからの奨学金。
十人くらいが受賞した。
そしてたった一人男子のケンタ。
女の子の真ん中に立たされ、
照れくさそうに写真を撮ってもらっている姿を見て、
夫に見せたかったなと思う。

貰った金額は500ドルと小さいけれど、
これから引っ越しにお金がかかるだろうから、
母としてはすご~く助かる。

パーティが終わり、
一番世話になった先生に挨拶に行く。
「入学当時はどうなることやらと思ったけど、
とうとう4年間が終わろうとしているね。」
と言いながら、
私はその先生と抱き合い涙を流す。

高校入学した当時は、
ケンタは早生まれだからまだ13歳だった。
(アメリカの高校は日本の中3から高3までの4年間)
思春期と父親との死別からまだ数カ月。
ケンタには本当に大変な時期だった。
私は学校に何度行き、
何度話し合いをしたことだろう。

だから余計に感慨深かった。
そんな4年間をその女性の先生は、
いつもケンタを見守ってくれていたのだった。




パーティが終わり、
子ども達は集まりワイワイと写真をお互い撮っている。


ワイシャツを着た息子の後ろ姿を見つめながら、
母は何とも言えない想いに浸るのだった。