「絶対、あかんっ!」
強い口調で光信が言うと、博也は口を尖らせた。
胸には子犬を抱え、そのまま、小首を傾げた。
「ミッちゃー、飼いたーい」
「う゛……。かわええ顔して言うても、あかんもんはあかん!」
首を横に振った光信の袖を、睦亮がちょいちょいと引っ張った。
「……どうしてもあかんの?」
上目遣いで、目を潤ませて訊く睦亮に、光信は頑固に首を振った。
睦亮は手を離すと舌打ちをし、忠成と博也を振り返った。
「泣き落としもあかんかったわ」
「おまっ、そんな手、覚えて」
呆れた声で顔をしかめた光信に、昂次と章五が顔を合わせて苦笑した。
「ヒロくんもムッちゃんも駄目となると、もう無理やね」
隆志が言うと、忠成がじーっと子犬を見つめた。
子犬は何も知らずに、ぴょこぴょこと走り回っている。
「こんなにかわええのに」
「あんな?犬は玩具やないからな。可愛いってだけじゃ、飼えへんで?」
「わかっとるよぉ。ちゃんと面倒見るもん」
「見るもーん」
「やから――」
頭を掻いて言葉を探す光信を、裕一が制した。
裕一はしゃがみ込むと、忠成と博也の目の高さに視線を合わせた。
「お前らの飯とかのために、俺らが仕事してるのはわかるよな?」
「おん」
「飯はだいたい光信が作ってるよな?」
「おん」
「犬に牛乳やったんは?」
「……ムッちゃん」
「ウンチ片付けたんは?」
「……ショウちゃんとムッちゃん」
「他にも、散歩連れてったり、病院連れてったり、いろいろせなあかん。そういうんを全部、自分で出来るか?」
「……出来る」
「ほんまかぁ?」
裕一がじっと見つめて訊くと、忠成と博也はきゅっと唇を噛んでうつむいた。
「……ううん、出来ひん」
「ほんまに面倒見られるようになったら、そんときは飼ってもええからな」
「……はぁい」
「はーい」
忠成と博也は、一応、納得した様子で返事をした。
昂次が自分の足元に寄って来た子犬を抱き上げると、光信に向かって言った。
「とりあえず、明日にでも引き取ってもらえる奴探すし。今日は世話してもええやろ?」
「まあ、それはしゃあないな」
「ほら、お前ら、飯あげとけ」
昂次は、近くにいた睦亮に子犬を渡した。
睦亮と忠成、博也は、きゃっきゃっと騒ぎながら皿を取りに行く。
「どっちにしろ、俺が用意せなあかんやん。俺らも飯、食うてないし」
苦笑した光信も、台所へ向かう。
大きく息をついた裕一に、昂次がにやっと笑った。
「ほんまは、お前が1番飼いたいんやろ?」
「……わかるか?」
「わかるわ、そんなん。俺も飼いたいもん」
昂次の言葉に、裕一も笑った。
※
20080427初稿
「恋愛メインじゃないものが書きたい」「兄弟ものが書きたい」「大人数の書き分けを練習したい」という衝動に駆られ、突如、勢いのまま書いたものです。
練習と息抜きを兼ねているので、ストーリーはベタです(笑)
それと、モデルがいるんですけど(名前と人数でばればれですか?(苦笑))、とにかく勢いで書きたかったので、キャラ作りの手間が惜しくてしたので、モデルにした方たちとはだいぶ違うと思います(笑)
今後、書いていくようなら、徐々にキャラも出来上がっていくと思うので。
でも、モデルがいると、楽ですね。
関口兄弟、関西弁なんですが。
ブログにアップしようとしたときに標準語で書き直したんです、一応。
でも、何だかニュアンスが変わってしまうので、そのままで行くことにしました。
私、関西弁話せないので、関西圏の方が見たら気持ち悪いだろうな、と思いつつ、このままで失礼します。
すいません。
20101107 改稿
章五と睦亮を双子に変更。
それに伴い、忠成が呼ぶ名前を変更。