アルバイトを終えた光信は、同じ様に家に向かう昂次を見つけた。
声を掛けると、振り返った昂次は笑顔になる。
「お疲れ」
「おぅ。腹減ったわぁ」
光信も笑顔になると、並んで歩く。
2人とも夜9時にアルバイトが終わる。
昂次はコンビニエンスストア、光信はファーストフード店で働いている。
店が近いため、こんな風に帰り道が同じになることも多い。
話しながら家に着くと、昂次が玄関の鍵を開けた。
今日のように、上の兄3人がいない日には戸締りに気をつけるよう、言い聞かせてある。
もう寝ているかと家に上がれば、居間に電気が点いていた。
覗けば、章五がTVを見ながら絵を描いていた。
2人に気付くと、顔を上げる。
「おかえりぃ」
「ただいま」
「ただいまぁ。何や、まだ起きてたか。ショウだけなん?」
光信が訊くと、章五はうなずいて立ち上がった。
「ご飯食べるやろ?あっためるな」
「いや、やるからええわ。小学生は早く寝ろや」
昂次が言うと、章五は困った顔をした。
「どした?」
「んー……、今日、コウ兄の部屋で寝てもええ?」
「あ?別にええけど、何で?」
「タカ兄、機嫌悪いねんもん。夕飯も食べへんし。部屋、入りづらい」
章五が言うと、昂次と光信は目を丸くした。
「あいつが機嫌悪いて、珍しいな」
「何かあったんか?」
「ま、あとで見てみよ。章五は用ないなら、寝とけや。布団、適当に敷いてええし」
昂次の言葉に、章五は笑顔になった。
「おん、ありがとぉ。なら、俺、寝るわ。おやすみなさい」
「はーい、おやすみぃ」
「おやすみ」
居間から出て行った章五が2階に上がると、光信は台所へ立った。
「どんくらい食う?」
「あー、普通」
「ん、了解」
光信は笑うと、カレーを温め直し始めた。
昂次は点いていたTVのチャンネルを適当に回す。
少し経つと、光信が皿を2つ持って居間に戻った。
「サンキュ」
「おー」
「いっただきます」
「いただきまぁす」
2人は手を合わせると、食べ始めた。
「ん。ショウの奴、どんどん腕上げてんな」
「もう、普通におかず作れるんちゃう?」
「な?――それよりも、タカはどしたんかな?」
「んー、そやな。陸上部の方で、何かあったんかな?」
光信は心配そうな表情で首を捻った。
兄弟の中でも1番温厚で、普段もあまり怒ることのない隆志だが、中学2年ともなれば、何か問題を抱えているということもあるのかもしれない。
「……部屋、行ってみるか?」
「せやんなぁ」
食べ終えた皿を流しに浸しながら、2人は話した。