2階に上がった昂次と光信は、まず、睦亮と忠成の部屋を覗いた。

 2段ベッドの上の段には、睦亮が眠っている。

 下の段では、忠成と博也がくっついて眠っていた。

「え、何で、ヒロがここにおんの?」

 光信は笑いを含んだ口調で言った。

 普段、博也は1階の光信と同じ部屋で寝るはずなのだが。

「――って、何してんの?」

 光信は昂次に訊いた。

 昂次は携帯電話で、忠成と博也の寝顔を撮ろうとしていた。

「や、めっちゃ可愛いやん。待ち受け待ち受け」

「……あほや」

 呆れた顔で、光信がつぶやいた。

 カメラのシャッター音が思っていたよりも響き、2人はあわてて部屋を出る。

 ――隣の部屋に入ると、隆志がベッドで寝ているのが目に入った。

「……タカ?」

 光信が遠慮がちに声を掛けると、隆志は布団を頭まで被り直した。

「起きてるやん」

 昂次は、眉間に皺を寄せる。

「どしたぁ?調子でも悪いんか?」

 覗き込んで光信が訊くが、隆志は答えない。

「おい、タカ」

 少しきつめの口調で昂次が言うと、隆志は面倒臭そうに上体を起こした。

「……放っといてや」

「あ?」

「……2人にはわからへん」

 隆志はうつむいたまま、つぶやいた。

 それっきり、何も言わない。

 昂次と光信は無言で視線を交わした。

 普段、怒らない分、1度こうなるとタチが悪い。

 2人は仕方なく部屋を出る。

 廊下に出ると、昂次の部屋から、心配そうに章五が顔を出していた。

 光信は苦笑すると、頭をかいた。

「あー……、起きてたんか?」

「ん。タカ兄、まだ、機嫌悪いん?」

「悪いなぁ。話にならんわ」

 昂次は首を横に振った。

「そうかぁ」

「ま、心配すんなや。明日んなったら、けろっとしとるって」

 光信は笑うと、章五の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。


 2人が出て行ったあと、残された隆志は顔をしかめた。

 両手で頭を抱え込み、大きくため息をつく。

 大人気ないと思っていても、すっきりしない。

「……ああぁっ」

 小さく叫ぶと、隆志は頭を掻き回した。