話が前後してしまいましたが、北海道ツーリングから戻った翌日の7月28、29日、「地平線会議」の第399回報告会in南相馬 に参加してきました。
 
 
 地平線会議は、探検・冒険から登山、旅、さらには民族調査やボランティア活動まで、世界を舞台に活動を続けている行動者たちのネットワークです。発足は1979年8月。設立当初は、大学探検部・山岳部の出身者をはじめ、国内・海外のフィールドでの体験をかさねた人たちが中心メンバーでしたが、しだいに一般の人たちの参加も増え、現在では、ごくふつうの勤め人から主婦、リタイヤ組まで、多彩な顔ぶれが活躍しています。
 会員制をとらず、事務所も置かず、会則もないなど、あくまでも個人の集合体であるという立場をとっているのが、大きな特徴。すべての活動が、有志の手弁当によって運営されています。
(地平線会議のWEBサイトより)詳しくは→http://www.chiheisen.net/
 
 
 参加者は約40名。ほとんどが首都圏、近畿圏からで、福島の被災地に来るのは震災後初めてという人が多かったのですが、宮城の被災地でボランティアセンターの運営に長く携わった新垣亜美さんほか、ボランティア経験が豊富で意識の高い人が多く、福島の現状にも興味を持って「ぜひ現地を見ておきたい」と参加してくれました。我々ほか、楢葉からいわきへ避難している渡辺さん、「ツーリングマップル」東北担当で被災地を何度も走っている賀曽利さん、今回の宿泊先を提供してくれた、南相馬のNPO法人代表・上條さんらが説明役です。
 福島駅から飯舘村経由で南相馬に入り、警戒区域が解放されたばかりの小高区を見たり、「相馬野馬追い」を見学したり、と内容の濃いツアーでした。
 
 
イメージ 1 イメージ 2
▲飯舘村役場。モニタリングポストの値と持参のガイガーカウンターの数値を比べる参加者。モニタリンクポストのほうが低い値でした。
 
イメージ 12 イメージ 17
▲4月に警戒区域が解除され、誰でも入れるようになった南相馬小高区。
 
JR小高駅。現在も警戒区域でのペットレスキューを頑張ってくれている「アニマルエイド」さんの貼り紙がありました。「アニマルエイド」さんは埼玉県にある動物愛護団体ですが、震災後からずっと、毎週警戒区域に入って給餌レスキュー活動を積極的にやってくれています。
 私も何度か圏内でお会いしています。給餌活動の同行者を募集しているので協力できる、という方はアニマルエイドさんへ。
 また、小高区の住民の「猫おばさん」こと吉田さんも小高での給餌に同行してくれる人を常時募集しています。小高は誰でも入れるので給餌初心者でも比較的取り組みやすいと思います。連絡先はこちら→http://ameblo.jp/cat-yoshida/entry-11263534884.html
 
イメージ 15
▲駅前の自転車置き場。1年4ヶ月余が過ぎ自然に飲み込まれつつあります
 
イメージ 16
▲祭り当日というのに人影のない小高区中心部
 
 イメージ 18
▲小高区にて。がんばっぺ!
 
イメージ 19
▲津波被害のひどかった小高区浦尻地区
 
 
イメージ 20 イメージ 3
南相馬と浪江の市町境にある警戒区域を示す県道255号線のゲートは無人。この地点で第一原発から約10㎞。実はこのあたりにも原発が造られる計画でした。右は冒険ライダー・賀曽利隆氏。「ツーリングマップル東北」の実走取材の途中で参加。
イメージ 4
宿泊先は南相馬の山間部にある、上條さんが代表を務めるNPO法人の拠点。林業と障害児の施設で、震災の2ヶ月前に完成したばかりでした。
 
2日目の29日は「相馬野馬追い」を見学しました。
詳しくはこちらを読んでくださいね。
 
イメージ 5
29日は「相馬野馬追い」を見物。5百余騎の武者が3㎞の道のりを歩いて会場の「雲雀ヶ原」を目指します。
イメージ 6
▲こんな小さな子も乗っていました。女性も18歳以下(20歳?)なら馬に乗って参加できるそうです。中には、津波で亡くなった家族の遺影を持って乗っている人も。避難している人が多いせいか、「男性が足りないので、本来は男性だけの役目だけど今年は女性もやっているんだ」と、地元の方が教えてくれました。
 
イメージ 7
▲迫力の「甲冑競馬」。旗差物がなかなかキッチュです。
イメージ 8
▲神旗争奪戦。
イメージ 9
▲「馬」といえば、「馬子」さん。女一人バイクで世界一周したりモンゴルを女一人で馬旅したりする冒険ウーマン。帰国子女で英語、ポルトガル語ほか数か国語を自在に操ります。
 現在は滋賀県高島市で馬2頭、犬1頭と一緒に電気もガスも水道もない環境で暮らしています。南相馬から滋賀に避難しているT氏が、この野馬追いの関係者という縁もあって、馬と犬の世話を友人に押し付けて今回カブ90ccではるばる相馬までやってきました。ごらんのとおりの軽装で、テントもなく、夜はそのへんにゴロリ。アラフォー、独身、恋人募集中。本物のスギちゃんよりも、こっちのスギちゃんのほうが、ずっと「ワイルドだぜぇ~」。
イメージ 10
▲仙台のTV局にインタビューされる馬子さん。あまりのワイルドぶりにインタビュアーもカメラマンもタジタジ
 
イメージ 11 イメージ 13
相馬の帰りは飯舘村を通り、帰還困難区域に指定され7月に閉鎖されてしまった長泥地区に寄ってみました。20㎞圏内の南相馬小高区が解放される一方で、40㎞以上も離れた地点が1年4ヶ月も経ってから新たに閉鎖されるという矛盾。
 
 長泥地区への道路には、ごらんのとおりのゲートが造られていてダイヤル式のカギがかけられていますが、住民は番号を知っていて自由に入れます。この方は長泥の住民で「見守り隊」の仕事で巡回してきたところ。自宅に猫を残しているので餌もおいてきているそうです。
 飯舘村は全体に空間線量が高く、3~5くらいはありました。この辺の側溝で20μシーベルト/時と、やっぱり高い。南相馬よりずっと高いです。
イメージ 14
▲飯舘村同様、計画的避難区域の川俣町山木屋地区。やはり耕作はされずに荒れた田畑が広がっています。青いビニールシートは除染した表土
 
 飯舘村などはもともと田舎なので昼間は人影がなくてもあまり気になりませんが、夜になると、一軒の家にも灯りがともらず真っ暗で全村避難という事実を身を以て知らされます。給餌活動のあと、よくこのあたりを通りますが、川俣町の中心部まで、真っ暗で怖くなります。通る車といえばパトカーや自警団ばかり。県外ナンバーだというだけで職質されたりもしますので、このあたりを走る方、怪しい行動はしないようにしてください。