ぽこです。
 今回の大震災による津波で東北地方沿岸部は大きく被害を受けましたが、それによる2次被害を受けているところもたくさんあります。
 
 そのひとつが温泉地です。地震や津波などの直接的被害を免れても風評による被害も深刻です。風評というと、福島県の放射能汚染だけかと思っていたら、それだけではないようです。
 
 温泉地域学会の理事でもある宮城県・東鳴子温泉の湯治宿、「まるみや旅館」から、窮状を訴える書き込みがあり、現状を見てこようと、友人の温泉ライター、西村りえさんと一緒に5月17~18日に直接行って参りました。
 
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▲湯治と自炊宿について熱く語るきくちゃん
  「まるみや旅館」の主人、きくちゃんによると、もともと東鳴子の湯治客の多くは三陸海岸の漁師さんたちで、漁師の湯治場』と言われていたそうです。「まるみや旅館」でも顧客の8~9割が、今回津波の被害に遭った三陸方面の方々なので、今後の旅館経営も不安ですが、安否が確認できない常連さんも少なくなく、心配されていました。もし、このブログを見た方で、「まるみや旅館」さんに泊まったことのある方、ぜひ連絡してあげてください。
 
 そのほか、一番困っているのが、鳴子温泉はどこも被災者でいっぱい」という、風評だそうで、常連さんからも
今は鳴子は被災者だらけみたいだから、行くのは遠慮します」と言われるそうです。
 
 実際は、被災者の宿泊先を一手に引き受けている旅行会社が大きな旅館にだけ被災者を送り込み、小さな旅館にはほとんどやってこないそうです(実際は、少人数ながら分宿していました)。特に東鳴子は小さな宿ばかりなので、「被災者でいっぱい」どころか、相変わらず閑散として静かでした。
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▲東鳴子の温泉街。GW後の平日ということもあって静かです
 被災者を受け入れれば、1泊(3食付)1人5000円が県から補助されるので、まったく宿泊者がいないよりは、長期間滞在するし、平日でも確実に収入になるので宿としてもまあ、悪くはないのでしょう。
 
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▲東鳴子温泉のメインストリートから一本内側の道路に面した「まるみや旅館」
 
 「まるみや旅館」は全国的にも珍しい、自炊専門の宿(希望すれば食事も出してくれます)で、1泊3800円。現在4代目のきくちゃんは、自炊宿で育ったせいか、湯治には一家言を持っていて、全国の自炊宿を泊まり歩いた経験もあり、その知識はハンパではありません。
 
 
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▲湯治客でにぎわった当時の「まるみや旅館」。最盛期は100名ほどの宿泊客がいて、廊下などを使って演芸会も行われていたとか。
 
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▲「まるみや旅館」にはお風呂が3つあります。共有源泉から湯をひく混浴風呂(左)と、自家源泉の男女別風呂の男湯(右)。泉質はナトリウムー炭酸水素塩泉(重曹泉)で、泉温は47.5度。加水加温もなし、どちらも源泉掛け流しです。建物はB級ぽいですが、湯は特上です。残念ながら日帰り入浴はしていませんので、ぜひ泊まってゆっくり堪能してください。
 
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▲共同炊事場(左)は何か所かありますが、冷蔵庫、電子レンジ、食器類などは完備しています。洗面所(右)はレトロなタイル製。体重計もレトロ
 
 
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▲炊事場付きの部屋(左)もあります。(右)フロント横の盧びスペース。漫画や雑誌、新聞などが常備されてます
 
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▲旅館の裏手にある、ミニ温泉神社。子どもを抱いた女の神様です
 
 きくちゃんと飲み交わしながら、いろいろな話を聞けました。たしかに大変な状況には違いないですが、もっと大変なところはあると思うし、ここにはまだまだ改善の余地はありそうです。まずは踏ん張っていただくことが肝心です。
 ということで、自分から発信する場が必要かと思い、ブログ開設のお手伝いをしてきました。
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▲「まるみや旅館」の菊地さん夫妻。みなさんを待ってます!
 
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▲鳴子には大野隆司さんの猫のイラストがあちこちで見られます
 
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▲東鳴子温泉街にあるレトロな「遠藤理容室」。使っている道具は骨董品級?
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▲「遠藤理容室」のワン。人懐こいです
 
 
 
 東鳴子の帰り、石巻へ寄り道しました。
 震災から2ヶ月も経っているのに、まだまだひどい状況だったのにびっくり。これでもだいぶ片付いたのでしょうけど、復興まではまだまだ時間がかかりそうだと思いました。こんな状況が石巻から北へ、何百キロも続いているのだから津波の被害の甚大さは想像を絶します。津波だけの被害なら福島よりもずっとずっと深刻でしょうけど、石巻の被災地にはたくさんの復興支援の車が行き交っていて、人通りも多く、活気がありました。仙台へ向かう高速道路でも渋滞が発生するほどで、それだけ多くの車と人間が被災地で活動しているということですね。
 
 着実に復興に向かって動き出している宮城・岩手に比べて、災害が現在進行形の福島の原発エリア(計画的避難地区含む)は、津波や地震の被害がない場所でも、人間がいません。車もほとんど通らず、店も閉まったまま。ゴーストタウンの様相の場所も少なくありません。いつ戻れるともわからず、すべてを置いて避難している人が福島にはたくさんいます。
 
 ということで、福島に比べれば、宮城はまだまだ頑張れます。きくちゃん、ファイトです。
 
●きくちゃんのブログ→http://blogs.yahoo.co.jp/marumiyafan
●まるみや旅館のHP→http://www.narukospa.com/marumiya.html
 
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▲石巻。まだまだ瓦礫でいっぱい
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▲石巻・渡波地区は地盤沈下による海水の浸水で道路がこんな状態でした