月食 | 粗土ログ

月食

帰宅時に駅から出ると、大勢の人たちが空を見上げていた。

そのほとんどは、スマートフォンを片手に撮影もしている。

「今晩は月食だったな」と、思い出して僕も同じ方向に目をやった。



月食自体も珍しいけれど、この都会で大勢の人が空の同じ一点を観ている状態を僕はおもしろいなと感じた。

今までも日食や月食などがあると、そのように大勢が空を見上げている光景があった。

でもこの夜は雲もなく、気候も良いからだろうか今までにないほどの大勢となっていた。



家に帰ると、妻も窓から月を見ていた。

「先ほどは、僕ら二人も同じ月を見ていたんだね」と語ったのだが、当たり前の話とはいえ何となくうれしい。

同じ星の上で生まれて出会って今、同じ月を二人で見上げているということがうれしい。



中央アメリカ出身の妻は、地元マヤ文明の影響があるところで生まれ育った。

そこでは日食や月食は太陽と月が争っている不吉な現象だと言われていて、特に月食については妊婦が見てはいけないと、妻もその母から言い聞かされていたようだ。

その妻も、今は日本から月食を観るようになった。



(sodo)






    
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