カピバラです。

 

咲くが10歳の時に私の誕生日のために作ってくれた絵本です。

小っちゃい頃の咲くは私と結婚したかったようです。

 

今や、スピリチュアル系が大嫌いな咲くですが、あの頃の咲くは輪廻転生を信じていました。

咲くとカピバラは何度も輪廻転生しては出会っています。

 

さてどうなるのでしょうか。

物語の始まりです。

 

二千年前の山城(現在の京都)の国にサクという女王と召使のカピバラという男がいました。

カピバラは略してカピと呼ばれていました。

 

カピはサク女王の忠実なしもべです。

サク女王は稲作や養蚕、機織り、製鉄、土木技術を広め、人々を救いました。

カピはサク女王の手足となってよく働きました。

 

 

しかしカピはある日死んでしまいました。

忠実なしもべ、カピは女王に添い遂げられないことを悲しみ、次の世でもサクに仕えようと誓いました。

 

 

またある時

イタリアのフィレンツェにサクチャーナという姫とカピチャーノという召使がいました。

カピチャーノは姫によく仕えていました。

 

 

しかし、カピチャーノは、ある日パスタをのどに詰まらせて死んでしまいました。

 

 

またある時、フランスのヴェルサイユにサクテーヌ夫人という貴族とカピゴナールという召使がいました。

カピゴナールは夫人によく仕えました。

 

 

しかしカピゴナールは、ある日セーヌ川で溺れて死んでしまいました。

 

 

またある時、ヴァイキングの船にサクデヒルドという女戦士とカピデバルドルという召使がいました。

カピデバルドルは主君によく仕えました。

 

 

しかし、カピデバルドルはある日海賊と戦って死んでしまいました。

 

 

またある時、インドのブッダガヤにサクディラーニーという姫とカピナンダという召使がいました。

カピナンダは姫によく仕えました。

 

 

しかし、カピナンダは、ある日、象に襲われて死んでしまいました。

 

 

そのまたある日、長崎の出島に高名な蘭学者の娘で、医者になったお咲くさんというお嬢様がいました。カピの助という召使が仕えていました。

カピの助はお咲くさんを懸命に支えました。

 

 

しかし、カピの助は、長崎くんちの人込みで圧死してしまいました。

 

 

そのまたある日、サッポロペツにサクッチコロマッという村長のお嬢様とカピパッオッカヨという召使がいました。

カピパッオッカヨはお嬢様によく仕えました。

 

 

しかし、カピパッオッカヨはある日クマに襲われて死んでしまいました。

 

 

そして、昭和の頃、咲くちゃんという娘とカピパラという男が誕生していました。

この二人は、ついに同じ身分で生まれることのできたサク女王とカピです。

二人は結婚して、子どももできました。

 

 

カピの方が咲くより長生きしてしまいました。

随分と孤独でした。

カピは90歳の時、道端で転倒して、打ち所が悪く、死にました。

 

 

その未来の、地球のほとんどが海に沈んだ時代にカピは生まれ変わりました。

けれど、咲くはどこにもいません。

 

 

そのまた、未来の人々が別の星に移り住んだ時代に生まれ変わっても、カピは独りぼっちです。

 

 

遠い未来、人間という生き物がいなくなった時代、カピの生まれ変わりはどこかの星で彷徨っていました。

 

 

どれだけ歩いても咲くはいません。

カピはついに力尽きて死んでしまうかと思われました。

 

 

その時、空から奈良の大仏様が迎えに来ました。

 

 

大仏様は言いました。

「カピよ、咲くは既に浄土に行きました。」

そしてカピは天に昇って行きました。

 

 

サク女王とカピは浄土で再会し、幸せに暮らしました。