MRI検査当日。

 

今日は乳房の中のがん細胞の広がりを撮影する検査で、12時からなので朝食はとらず水のみ。

事前にもらった注意事項には、ファンデ、日焼け止め、アクセ、ヘアスプレー、ネイル、カラコン等さまざまな禁止事項が書いてあった。

要するに金属を含む可能性のあるものを身につけたらダメらしい。アクセはわかるけどファンデやカラコンにも含まれてるとは知らなかった。

しかし日焼け止めという防御なしに外出するのは、アラフィフにはなかなかキツイ。紫外線に対して肌が丸腰すぎる。

知り合いに会いたくないなあと思いながら日傘でガードして紹介されたブレストクリニックへ。

 

受付を済ませ、待合室に旦那を残してカギ付きの小さな更衣室に案内される。

そこで検査着に着替え、眼鏡やスマホなどすべての荷物を置いてから造影剤のルートを右腕に確保。

クリニックはとても真新しくて綺麗で、新築のナチュラルなリビングといった趣きだったのに、技師さんに連れられてドアを開けた先にはいきなりドドーンと宇宙船のコックピットみたいな近未来装置が鎮座していて驚く。

 

これがMRIかぁ。

ドア一枚の隔たりしかないのに、あっちとこっちじゃ別世界だ。ちょっと興奮。

 

まず寝台に正座するように言われ、ゆっくりとうつぶせに。

両腕は耳の横に伸ばすような姿勢で、左手には何かあった時用のブザーを持たされる。

顔と胸部分に穴が空いているので押しつぶされる痛みはないけど、今から30〜40分、身動きしないでも大丈夫と思えるような楽なポジションがなかなか定まらない。

だいたいここらへんか〜? という妥協点を見つけて技師さんに「大丈夫です」と伝えると、やがて寝台がウィィィンと丸い機械の中へ吸い込まれていく。

 

なにこの近未来アトラクション、楽しい。

などと余裕ぶっこいてられるのも最初の5分くらいだった。

 

両脇が地味に痛い。

脇部分にちょうど寝台のボコッとした部分があたっているので、そこが圧迫されて痛いのだ。

 

けれどMRIは身動き厳禁なのでどうすることもできず、「このままあと30分か……」とやや絶望的な気分になってくる。そして装着されたヘッドホンからは鳥のさえずり的なヒーリングミュージックとともにブーーーーーーーーとけたたましいブザー音が鳴り響いている。

 

「すごくシュールな状況」だと、数々の闘病記で予習していたとおりだった。ネイチャーVS工事現場だ。あわよくば寝られたらいいなと思っていたけど、脇が痛いわうるさいわで虚無に身を浸すより他はない。

 

わたしは閉所が苦手ではないのでパニックの予兆はなかったけど(そもそもうつぶせなので周りが見えない)、身動きしちゃいけない状況というのはなかなかに苦しいものがあった。

 

ただ、「この撮影はあと1分続きます」「あと8分続きます」みたいな機械的なアナウンスがあり、その合間はアイドリングタイムだと勝手に理解して、じわじわと体勢の微調整などを行ったので(いいのかどうかは不明)、うまい具合に苦痛も受け流せたし状況にも慣れた。

 

でもまあこの近未来アトラクション、興味深い経験ではあるけど何回もやりたいものではないことは確かだ。

なにせ保険きいても9000円くらいする。だったらTDL行きたいよねー。

 

今日の結果は一週間後。

まだ手術も治療も始まってないのに、なんだか検査の結果待ちばかりで疲れてきてしまった今日このごろ。

だってどの検査結果も「ちょっとマシ」か「あんまり良くない」の二択しかないんだもの。

たまには手放しで喜べるような結果が欲しいよね。「この検査やった人の中から抽選で10名様に100万円当たる!」とかさ。