人生で初めて出会った植物の記憶がありますか?

「錯覚だよ」と言われるのを承知で書くと、生後3ヶ月で見た紫陽花が『花という概念』を理解した最初の私の記憶です。

勿論、当時は「紫陽花」なんて知りません。
自分の年齢が「生後3ヶ月」というのも自覚していた訳ではなく、後に状況証拠から割り出したものです。



(写真は生後間もない頃、産院ベッドでの私)

私が産まれたのは6月中旬。
北海道とはいえ暑さが増して来る季節でした。

虚弱のせいか、冷え性のくせに汗っかきだった私は、生まれて直ぐに汗疹やかぶれで皮膚はボロボロ。長じては蕁麻疹も加わり学生時代まで肌トラブルには泣かされ続けました。

母の話を聞けば、畳の上に私を寝かせていたら、抱き上げた時には汗やカブレた箇所からの体液(リンパ液?)で人型に変色した跡が出来ていたくらいだったそうです。

その日。
私は窓際に寄せたベッド(多分、両親のベッドに仮置き状態)に寝かされていました。
窓際から差し込む光が眩し過ぎて。
秋の気配もあるのに、まだまだ日光が暑くて。
だんだんと背中がジクジクと痛痒くなってきて。

なんとか不快感を避けようと一生懸命バタバタとぐずりながら体を動かしていました。
(寝返りをうとうと努力していたんだと思います...まだサクサク寝返りができる月齢ではなかった)

今考えると「とにかく背中を床から離したい」一心だったと思うのですが寝返りをするはずが何故かエビぞりになり。
首がぐにゃりとなった感覚が、痛くはないけれど気持ち悪くて。
泣きたいような、叫びたいような、不条理感でイッパイになった時。

不意に視界に青い固まりが映り。
ユラユラと慰めてくれるように映ったのです。

3才頃にはそれが「庭のお花だ」と理解し。

幼稚園に上がって自宅畑の植物名くらいなら判る知恵が付いた頃、窓から見える該当植物が紫陽花だった事を知りました。

我が家の紫陽花は夏の終わり~秋にかけて薄青いボンボリのような花を咲かせるタイプでした。

今の自分に子供がいないので乳幼児の成長速度は判らないのですが(個人差も大きいと聞きますし)。

①紫陽花が咲く季節
②秋のようで、まだまだ暑い季節感
③寝返りがまだ出来無かった頃

ということから、生まれた年の9月上旬、生後3ヶ月になろうとしていた頃の記憶かなと思っています。

確かに覚えているのは瞼に焼き付くお日様の眩しさ。
肌に刺さる日光の暑さ。
背中のジクジクした不快感と痛痒さ。
首がぐにゃりとした不快感と、どうにも体勢を整えられない苛立ち。
そうして青くユラユラゆれる紫陽花の優しげな佇まい。

植物という存在を初めて認識したと同時に、植物セラピーも体験していたんだなぁーと振り返ると、この記憶も確かに「今の私に繋がっている」と思えるのです。