認知症(上):読売新聞引用
認知症(上)
浅ノ川総合病院神経内科 江守 巧部長
脳梗塞や脳出血で発症も
大部分の認知症は原因が不明ですが、分かっているものに限って言えば、大きく脳血管性認知症とその他のものに分けられます。その他のものには、アルツハイマー病、レビー小体型認知症(DLB)、ピック病、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫などがあります。
このうち、脳血管性認知症、アルツハイマー病、DLBの3つで、原因が分かっているものの約8割を占めています。
脳血管性認知症とは脳梗塞(こうそく)や脳出血の後、認知症状が現れるものです。アルツハイマー病の場合、比較的、人格は保たれ、人当たりのよい方が多いとされています。DLBは、パーキンソン病のような症状に認知症が加わったものと考えられています。
ピック病は、初期は記憶障害が軽いのですが、次第にしゃべらなくなります。また、同じ字を書き続けたり同じ場所を徘徊(周徊)し続けたりすることが多く、自分勝手な感じで性格変化や行動異常も目立ちます。
脳外科で手術治療が可能な正常圧水頭症は、脳脊髄液の吸収が悪くなり、脳室が拡大します。このため、認知症状に加えて歩行障害や尿失禁など下半身の症状が現れます。
これらの中で原因が分かっていて、治療方法も確立されているのは正常圧水頭症や、脳の外側で脳の膜(硬膜)の下にゆっくりと血が溜まる慢性硬膜下血腫などです。
また、認知症はアルコールの飲み過ぎや薬物・化学物質の摂取、髄膜炎や脳炎などの感染症、脳腫瘍、そのほかにも肝臓、腎臓、肺の病気などが原因で起きることもあります。
次回は、認知症の治療や薬、漢方の効能などについて紹介します。
(2006年9月2日 読売新聞)