グルタチオン:日刊現代引用
| 【丸元淑生 短命の食事・長命の食事】 2006年5月25日 掲載
発がん物質を無毒化する野菜・果物はコレだ肝臓は発がん物質の解毒をフェーズ2酵素と総称される酵素群によって行っている。だからがんを予防するにはフェーズ2酵素が最高に機能している必要があるのだが、フェーズ2酵素が十分に作られていない人や、作られていてもその働きの悪い人がいる。 そういう人は危険な状態に自分を置いているのだが、それは食事によって大きく変えられることがわかっている。 フェーズ2酵素の働きを高める食品があるし、フェーズ2酵素の原料になる食品もあるので、それらの食品が十分に取れる食事にすればよいのだ。 代表的なフェーズ2酵素で極めて重要なものにグルタチオン転移酵素があるが、グルタチオンを最も多く含んでいるのは、アボカド、アスパラガス、スイカ。次いでグレープフルーツ、オレンジ、イチゴ、トマト、メロン、ブロッコリー、ホウレンソウ、パセリ、ズッキーニ、オクラ、ジャガイモなどの野菜と果物である。 これらの野菜と果物を最近どれだけ食べたか思い出してみて、ほとんど食べていない人がいたら、食事について考え直す必要がある。 グルタチオンは体内で作り出される物質なので必須栄養素ではなく、アミノ酸のシステインから作られるので、高タンパク食品を取っていれば不足しないと考えられていた時代があったけれども、実際は中高年の場合は特に不足している人が多く健康の度合いを測る指標となっている物質である。 研究によると血中グルタチオン値の高い人ほど自分を健康だと感じており、客観的なデータでも健康度が高く、病気が少なく、血圧もコレステロールも低いのだ。そして、がんのリスクも低いということになる。 フェーズ2酵素の働きを高めることが明らかな物質には、スルフォラファンというアブラナ科の野菜に含まれているファイトケミカルがある。 スルフォラファンを最も多く含んでいるのはブロッコリー。次いで、芽キャベツ、ケール、レッドキャベツである。 だからブロッコリーは抗がん食品の王様といわれているのだが、毎日の食事でこれらの食品の出番を増やすことががんの予防につながる。 ●まるもと・よしお 1934年、大分県生まれ。東京大学文学部仏文科卒。作家、栄養学ジャーナリスト、料理研究家。 |