ビタミンEの心臓病予防効果:日刊ゲンダイ引用
【丸元淑生 短命の食事・長命の食事】

血中コレステロール値の高い人は、心臓病のリスクが高まることを誰もが知っている。
心臓病の最初のサインは心臓発作だが、心臓病の基盤はその何十年も前から作られてきているものである。
動脈にプラークと呼ばれる斑が出来て、長い年月の間に徐々に肥厚して動脈が硬化していくことが基盤になるのだから、それを一挙に解決できるような薬はない。
解決策は食事を含めてライフスタイルを変えていく以外にないけれども今すぐにやれることが一つある。サプリメントでビタミンEを摂ることだ。
血中コレステロールの値の平均値が同じレベルの人を血中ビタミンE値の違いで8群に分けて、心臓病のリスクを追跡調査した研究がある。
その結果は、血中ビタミンE値の最も低い群が最も多く心臓病になっている。そして、血中ビタミンE値の最も高い群は心臓病になる人が最も少なかった。
血中コレステロール値の高い人でも、ビタミンEを十分に摂っているとそれだけ心臓病のリスクが下がるのだ。
このビタミンEのもたらす恩恵を明確に証明したのが、研究者の間ではCHAOSの異称でよく知られているケンブリッジ・ハート・アンチオキシダント・スタディである。
心臓病と診断された患者2002人を対象に、二重盲検法で行われた研究で、1群の患者にはビタミンEのサプリメントが、対照群の患者にはニセ薬が与えられた。
研究は510日間つづけられ、その間に心臓発作を起こした患者の数はビタミンEを与えられた群は、対照群よりも77%も少なかった。
あまりにも大きな差が出たので、ケンブリッジ大の研究者たちは、それ以上比較をつづける必要はないとして、全員の患者にビタミンEを与える決断を下している。
アンチオキシダントは訳すと抗酸化物質。毎日摂る必要のある必須栄養素のビタミンEは強力な抗酸化物質である。
われわれの体の細胞を包んでいる細胞膜は脂質で構成されているが、ビタミンEは脂溶性なので全身の細胞の細胞膜の中に入って、細胞が酸化するのを防ぐ。この重要な栄養素は無精製の穀類や種、ナッツに多く含まれているけれども、現代人の食事ではあまり摂れない。
サプリメントでの摂取が勧められている量は、1日400ミリグラムである。
◆まるもと・よしお 1934年、大分県生まれ。東京大学文学部仏文科卒。作家、栄養学ジャーナリスト、料理研究家。
2006年1月27日 掲載
心臓病のリスクを下げるサプリ血中コレステロール値の高い人は、心臓病のリスクが高まることを誰もが知っている。
心臓病の最初のサインは心臓発作だが、心臓病の基盤はその何十年も前から作られてきているものである。
動脈にプラークと呼ばれる斑が出来て、長い年月の間に徐々に肥厚して動脈が硬化していくことが基盤になるのだから、それを一挙に解決できるような薬はない。
解決策は食事を含めてライフスタイルを変えていく以外にないけれども今すぐにやれることが一つある。サプリメントでビタミンEを摂ることだ。
血中コレステロールの値の平均値が同じレベルの人を血中ビタミンE値の違いで8群に分けて、心臓病のリスクを追跡調査した研究がある。
その結果は、血中ビタミンE値の最も低い群が最も多く心臓病になっている。そして、血中ビタミンE値の最も高い群は心臓病になる人が最も少なかった。
血中コレステロール値の高い人でも、ビタミンEを十分に摂っているとそれだけ心臓病のリスクが下がるのだ。
このビタミンEのもたらす恩恵を明確に証明したのが、研究者の間ではCHAOSの異称でよく知られているケンブリッジ・ハート・アンチオキシダント・スタディである。
心臓病と診断された患者2002人を対象に、二重盲検法で行われた研究で、1群の患者にはビタミンEのサプリメントが、対照群の患者にはニセ薬が与えられた。
研究は510日間つづけられ、その間に心臓発作を起こした患者の数はビタミンEを与えられた群は、対照群よりも77%も少なかった。
あまりにも大きな差が出たので、ケンブリッジ大の研究者たちは、それ以上比較をつづける必要はないとして、全員の患者にビタミンEを与える決断を下している。
アンチオキシダントは訳すと抗酸化物質。毎日摂る必要のある必須栄養素のビタミンEは強力な抗酸化物質である。
われわれの体の細胞を包んでいる細胞膜は脂質で構成されているが、ビタミンEは脂溶性なので全身の細胞の細胞膜の中に入って、細胞が酸化するのを防ぐ。この重要な栄養素は無精製の穀類や種、ナッツに多く含まれているけれども、現代人の食事ではあまり摂れない。
サプリメントでの摂取が勧められている量は、1日400ミリグラムである。
◆まるもと・よしお 1934年、大分県生まれ。東京大学文学部仏文科卒。作家、栄養学ジャーナリスト、料理研究家。